2023/07/19~20 大雪山・旭岳~裾合平ラウンド&愛山渓登山ガイド

皆様こんにちは。北海道の登山ガイドの西田です。先日は大雪山は旭岳~裾合平ラウンドと、愛山渓トレッキングに行ってまいりました。今回ご一緒させていただくのは北海道ご在住のO様。前回は雄阿寒岳をご一緒させていただいたリピーターさんです。この方は北海道の方ということもあってか、なぜでしょう随分昔からの知り合い、または親戚であるかのような親近感を覚えてしまいます。

さて、19日は天気予報は曇り時々雨といったところだったのですが、ロープウェイで姿見を降りるときには曇り、ながらも旭岳の頂上につく頃には青空もチラチラと覗いているという感じでした。後旭側の雪渓もさすが道産子とあって非常に上手いです。広々としたどこがピークかわからない間宮岳をやりすごし、中岳分岐を降りて中岳の湯に到着。ここには携帯トイレのブースがあります。少し休憩をした後裾合平へ。そろそろチングルマは散りはじめといったところで、綿毛になっている株も多くなっておりました。

翌20日は愛山渓トレッキングということで、愛山渓~松仙園~6の沼~愛山渓という道のりを周遊してみました。この 松仙園 ルートは長らく廃道状態になっていたものが有志のお力により2020年に復活、7/14~9/30の期間開通だそうです。この 松仙園 ルート もかなり素晴らしい自然散策が出来ますね。釧路湿原や雨竜湿原などとも違った、高山の麓の深山の雰囲気に満ちたワイルダネスが広がっておりました。

私達は花を見ながらゆっくりと時間をかけて巡ったので、所要時間はなんだかんだで7時間ほどかかりました。ルートはわかりやすいものの、ぬかるみがあったり、登りもそれなりにあり、なによりヒグマの気配が濃厚なため、誰でもハイどうぞというルートでは全く無いです。普通に熊スプレーと登山装備で来たほうが良いです。ですが歩くと気持ちのいい素敵な場所ですね。花はワタスゲ、キソチドリ、ミヤマリンドウ、タチギボウシなど。モウセンゴケもたくさん見られました。O様今回も楽しゅうございましたね。また次もよろしくお願いいたします。

2023/07/15~16 大雪山・旭岳~黒岳石室~裾合平ラウンド登山ガイド

皆様こんにちは。北海道の登山ガイドの西田です。初夏の盛りに大雪山へ行ってまいりました。今回は当初、旭岳~トムラウシ縦走を企てていたのですが、白雲山避難小屋の付近でヒグマの出没が相次いでおり避難小屋が利用禁止になってしまったのと、日程中の天候も雨マークがチラホラと微妙だったため、プランを変更して旭岳~黒岳石室~裾合平~姿見ロープウェイというラウンドコースに計画変更をしました。

今年はやはりヒグマの出没や目撃情報などが多いですね。白雲避難小屋では親子熊などを含む複数の個体が出没しているようで、なかなか危険な状態となっていたようでしたね。このような危機的な状況であっても、写真を撮ったり見物したりでリテラシーのない登山客が多いことから小屋の利用停止という異例の事態となったようです。16日に小屋の利用禁止は解かれたのですが、いやいや16日から通常営業ですってあなた熊にはそんな人間の都合は通じるわけもなく…。つまり、白雲避難小屋以降の縦走路はおそらく今シーズンは少なくとも当面のところはリスキーなはず。そんなわけで、私達はあっさりトムラウシへの縦走は手控え、黒岳石室~裾合平ラウンドに切り替えたのでした。

姿見のロープウェイからカムイミンタラに降り立ち、旭岳を登り、後旭の雪渓をやり過ごし、強風の北海岳に到達。シトシトと雨の中を行軍しつつ黒岳石室に着いたのでした。天気予報のためか小屋には思った以上に登山客が少なく、快適な夜を過ごす事が出来たのでした。翌朝はガスがかかったり晴れたりで、前日よりはマシな天気。北鎮岳北側の雪渓はまだそれなりの規模で唯一軽アイゼンを使いました。中岳温泉の足湯を楽しみ裾合平へ到達すると、そこはあたり一面チングルマの花畑です。この期間あたりが最終見頃と言っていいところでしょうか。他にも花は、アオノツガザクラ、エゾノツガザクラ、キバナシャクナゲ、ミヤマリンドウ、ヨツバシオガマ、イワヒゲ、イワブクロ、タカネスミレ、ミヤマキンバイ、クモマユキノシタ、チシマクモマグサ、エゾノリュウキンカなどが咲いていました。そんなこんなで、大雪山の素晴らしい景色、また厳しさなどなどを存分に体験出来たのでした。H様、S様、S様、色々とお話できて楽しかったです!また来年も楽しみにしております。

2023/07/08~11 利尻山・礼文島登山ガイド

みなさま、こんにちは。北海道の登山ガイドの西田です。先日は久々に利尻山へ登って、礼文島へトレッキングに行って参りました。初日はお客様と千歳にて合流後、稚内へ6時間のドライブ。そしてフェリーに乗って利尻島へ。朝8時に千歳を出発すると、18時半くらいに利尻へ到着する計算になります。宿泊は鴛泊の「群林風(グリーンウィンド)」さん。海の幸を中心としてウニもあったり食事が大変美味しく、宿主さんたちの細やかなご配慮がとっても素敵な宿なのです。

さて利尻山登山当日ですが天候は晴れ時々曇と上々ながら風が6〜7mほどと風に左右される利尻らしい天気。風が山にあたり雲がかかる時間もあるだろうなぁと予想しておりました。宿の送迎にて北麓登山口に降り立った我々は、樹林の登山道をゆっくりと歩きだします。シーズン最盛期とあって登山者は多く、に野営場にもたくさんのテントが張られていました。久々の利尻の北陵は海からの風が心地よく、花を愛でながら歩いているといつの間にか頂上へ着いているといった感じでした。花は、リシリヒナゲシはもちろん、ボタンキンバイ、リシリゲンゲ、リシリオウギなど利尻ならではの花がいっぱいに咲き乱れておりました。

翌日は予備日として設定してあり、利尻を順当に登れた場合は礼文トレッキングという設定にしておりました。そんなこんなで、朝一のフェリーで礼文島へ。香深より桃岩コースをトレッキング。歩みを進めるにつれ礼文島ならではのたおやかな丘陵草原の景色が広がっており、レブンウスユキソウ、サクラソウモドキ、シラゲキクバクワガタ、オオアマドコロ、レブンハナシノブ、イワベンケイ、ヒオウギアヤメ、レブンソウ、チシマゲンゲ、レブンシオガマ、チシマフウロ、エゾノシシウド、オオカサモチ、オオハナウド、エゾレンリソウ、リシリソウ、ハナイカリなどが咲いておりました。

花いっぱい美味しいものいっぱいの利尻・礼文の旅。いやぁ言うまでもなくおすすめです。H様、S様また遊びに来てくださいね。

2023/07/04~06 ペテガリ岳業務登山ガイド

みなさまこんにちは。北海道の登山ガイドの西田です。先日、環境省の調査のお仕事でペテガリ岳へ行ってまいりました。期間中は幸いなことに晴れ時々曇りというお天気で、結果から申しますと守備よく調査を終えることができました。ペテガリ岳の登山口までは元浦河林道より神威山荘へ車で入り、そこからニシュオマナイの支尾根を沢装備で乗り越して、ペテガリ山荘へアプローチする必要がありますが、なんとあいにくちょうど日程が林道工事とぶつかってしまい元浦川林道は通行止め…。しかし、思い出しました。ペテガリには高見ダム経由でペテガリ山荘まで入れる静内中札内線というとんでもない道が通じていることを。

ペテガリ岳・登山道
ペテガリ岳・登山道

静内中札内線は、その名の通り日高山脈を横断し静内と中札内を繋ぐ道として建設が始まりましたが、険峻な地形や自然の脅威により難工事に次ぐ難工事となり、計画は頓挫。今はひっそりとダムの管理道として森の中にその姿を潜めています。結局我々は公的業務用途としてこの路線の通行許可を取得し、ペテガリ山荘に向かったのでした。里から山荘まで所要時間ゆうに3時間。立派な道ですがなんと深山のなかにあることか。 カムエクとコイカクの土手っ腹に穴を開け、これを中札内まで繋ぐとはなかなか無謀でですなぁ。コイボクや七の沢が道路になるって話ですからね。そして上部に行くほどにヤブヤブになっていく長大なペテガリの西尾根を登りながら思いました。やっぱり日高は本当に深い。深くて険しく、美しい。

S様この度はありがとうございました。色々なお話を伺えて楽しかったです。また調査行きましょう!そして日高南部の森林管理署のみなさま、いつも本当にありがとうございます。

ペテガリ岳・ピーク遠望
ペテガリ岳・ピーク遠望

2023/06/24~26 幌尻岳チロロルートテント泊縦走登山ガイド

皆様こんにちは。先日は今回がお初のお客様E様と幌尻岳チロロルートをテント泊縦走として行ってまいりました。6月下旬のシーズンの幌尻は雪渓の心配は少しありましたが、結果として雪解けの早い昨今としては花のベストシーズンでした。この日はやや雲が多いかなとも思いましたが、すっかり治ったチロロ林道の奥の駐車場より泊装備を背負ってスタート。久々の北電取水口や二岐沢をやり過ごし、日高名物の急な山腹斜面をジリジリと登ります。トッタの泉で6リットルの水を担ぎ、ヌカビラ山、北トッタ別岳へ。テン場は我々二人のみ。

夕方から雲が下がってテン場は雲海の上へ。最高の眺めのなか夕食を摂って就寝。めちゃくちゃぐっすりと眠れました。翌朝は4時おき5時半発。天候は最高!ハイマツトンネルを潜りながら、トッタ別の急登や7つ沼カールバンドを経て幌尻岳頂上へ。幌尻今シーズン一回戦は上々の天気の中登頂を果たすことができました。やりぃ!7つ沼カールにはヒグマが悠然と朝食を採っていたり、雲海や、星空、谷から吹いてくる涼風、テントを叩く風の音、全てが自然の醍醐味であり私達の五感を覚醒させます。幌尻岳ってすごいなぁ、日高山脈ってすごいなぁとお客様と帰路の車の中でもずっとお話していました。E様今回はやりましたね!トムラウシでもよろしくお願いいたします。

2023/06/17 東ヌプカウシヌプリ登山ガイド&然別ナキウサギ探訪

皆様こんにちは。登山ガイドの西田です。今シーズンはちょっと早めに初夏の然別にていつもいらっしゃっていただいている常連のU様と、東ヌプカウシや駒止湖にナキウサギを訪ねて行ってまいりました。この日の東ヌプカは少々風はあったものの、寒いというほどでもなくちょうどいい天気。東大雪らしいアカエゾマツの根っこ階段の樹林のなか、足元に注意しながらジリジリと急登を登って行きます。2時間ほどで東ヌプカウシヌプリ頂上につき、記念写真を撮った後肩の岩場でナキウサギくんの出現を待ちます。と、すぐにナキウサギくん登場!…というか、いつの間にか岩の上に居て岩と同化していて誰も気づいていません笑。双眼鏡で見てみると、間違いなくナキウサギでありました。動かず、鳴かずにじっとしている個体は見つけるのが難しいのです。

そんなこんなで、首尾よくナキウサギを写真に収めた我々は意気揚々と、カフェムバンチにてホットドッグと自家製ベーグルのフレンチトーストを賞味。これが美味い!熱々のスキレットに乗ったベーグルにシロップをかけるとジュウジュウと湯気が上がりました。これ、まじで美味かったです。そんなこんなで、次は駒止湖へ。と、数十分ほどでナキウサギくん登場!写真のモデルになっているが如く至近距離の穴から出てきて、泰然たるポーズをとっておられます!毛並みが陽にさらされて美しい!意外とこの日はカメラマンが一人しか居ず、ゆっくりとナキウサギを待つことができました。いやぁ今回も自然の中で素晴らしいひとときを過ごせましたね!U様十勝岳でまたお会いいたしましょう!

2023/05/02~04 トムラウシ山&雌阿寒岳 ゴールデンウィーク山行

今シーズンのゴールデンウィーク山行は、群馬からお越しのH様お二人と残雪のトムラウシ、さらにH様のご両親もご一緒しての雌阿寒岳をご案内させていただきました。入山前の天気予報は前の週くらいまであまり良くなく心配もありましたが、蓋をあけてみると全日上々の天気で計画を完遂することができました。

さて、まずはトムラウシ。今シーズンは東大雪荘の周りや林道にすでに雪はありませんでしたが、林道の終点だけに除雪のこんもりが溶け残っており、短縮登山口までは車で入れませんでした。近年の少雪ではこの時期に冬尾根など登れるわけもなく、夏道の温泉ルートからスタートします。とはいえ、完全に雪がないのはco900くらいまでで、以降は雪上での登高。ゴールデンウィークのトムラウシはまだ入山者も少なく、トレースもまばら。雪が出てくると夏道はどこか判別はできませんので、地図を見ながら読図で進んで行く必要があります。トムラウシの温泉ルートは地形がややはっきりしない部分もあり、割とちゃんとした読図が要求されます。

残雪の樹林帯をスノーシューでえっちらおっちら登高していき、短縮登山口の合流点も過ぎ、程なく進むとカムイ天上に出ます。ここあたりから一気に視界は開け、トムラウシのピーク方面、ニペソツ、石狩岳などの東大雪の山々、十勝連邦、夕張・芦別の山々などが見渡せるようになります。さらに進んでいくと、山腹斜面をトラバースしながらゆっくりと高度を下げ、コマドリ沢の出合いに到達します。この時期のトムラウシは少雪でほぼ全域わたって雪崩のリスクは低いと言えるでしょうが、唯一この山腹のトラバースとコマドリ沢の出合い周辺は雪面温度が上がるタイミングでは気をつけたい場所ですね。

コマドリ沢から前トム平までは、 夏にはナキウサギがたくさん鳴いているロックガーデン脇ののっぺりとした沢型を登行。汗をかきかき少しづつ高度を上げていきます。 前トム平 へのエッジを乗り越えると段々と風が出てきました。前トム平からはいよいよトムラウシのピークがどーんと迫ってきます。トムラウシの公園を経て南沼のテントサイトへ上がると、やっぱり風が少しあります。天候が安定していたので、この日の中にピークアタックへ向かうことに。

キツネなどにやられないようにザックの中から食料などを抜いて、テント泊装備は岩の上にデポ。アタック装備で頂上を目指します。アイゼンピッケルで30分ほど頑張ると、景色のいいトムラウシの頂上へ到着しました。ここでお客様と猫耳をつけて記念撮影。トムラウシの双耳峰ピークが猫のように見えたからとのこと。しかし、ピークはやはり風が強かったです。こんなにも天気が良いのに、やっぱり大雪は甘くない!そんなこんなで、ザックを回収して16時頃にはトムラウシ公園の上のちょっとした、岩陰のピットにテントを張り泊まることに。この時点でなかなか風がありテントを張るのも一苦労でした。気温は低く無いのが幸いでしたが、夜半には風がテントを叩く音で何度も目が醒めたものです。

翌朝は風もあることから、4時起き6時発で早めにテントを撤収して下山することに。朝食を食した後、締まった雪面で転滑落しないようアイゼンピッケルで慎重に下りました。下山時はコマドリ沢の沢型の長い下りが緊張するポイントですが、ゆっくりと下れば問題とはなりません。そんなこんなで昼ぐらいには下山。東大雪荘の日帰り入浴は13時からなので、くったり温泉でお風呂へ入り、帯広で豚丼と芽室の道の駅でソフトクリームを食し阿寒へ移動。

翌日5/4はH様のご両親と合流して、雌阿寒岳へ登りました。雌阿寒岳もまたこの既設としては非常に少雪で、野中温泉ルートでは殆ど雪がありませんでした。この日もまた天気はまずまずで、開けた景色を存分にご覧頂くことが出来ました。オンネトールートの下りでは上部の一部と、樹林内の日陰の部分で雪が出現。氷化している部分もあったため、念のため軽アイゼンやチェーンスパイクを使用。こういう状況ではチェーンスパイクがあると役立ちますね。トムラウシ・雌阿寒岳と、天候にも恵まれ素晴らしい計画が出来て何よりでした。H様この度はありがとうございました。またぜひ遊びに来てくださいね!

2023/04/25 久しぶりの阿寒の森トレッキング

みなさまこんにちは。ガイドの西田です。昨日は久々に阿寒湖畔にて阿寒の森トレッキングを催行いたしました。ご依頼をいただきましたのは関西からお越しのS様。北海道へお越しの旅の途中で、阿寒の自然が気に入ってくれてお声がけいただけたご様子。当日は天気もよく、早やかな春の雰囲気とともに、のんびりとご案内させていただきました。

阿寒川
阿寒川

すこし風が強めではありましたが、やはり今年の暖かさのせいで湖面の氷も全て溶け、数週間は季節の訪れが早いように感じました。ルート中にはヒメイチゲやスミレ数種、なんとエゾオオサクラソウもすでに開花しておりました。雪解けの早さからでしょうが、例年より2~3習慣は季節が早いようですね。気の早い季節の訪れに、森の木々や鳥たちもいそいそと春の身支度を整えているといった森の様子でしたね。 気持ちの良い一日でした~。S様この先の道中もお気をつけて!また遊びに来てくださいね。

阿寒の森 スミレ
阿寒の森 スミレ

2/18~3/22まで、遠征&研修で不在のお知らせ。

おはようございます。ガイドの西田です。表題のとおり2/18〜3/22まで知床や本州の山、カヤックの研修などでやや長めに不在になります。この間ガイドのご案内は出来ず、連絡のやり取りも遅れがちになりますが、生きてはいると思います。特に山行策定の途中のお客様にはご不便をおかけして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

2023/02/07~08 アイスクライミング in 知床 ”ケイズギフト”

みなさまこんばんは、先日、知床五湖エリアの氷爆、”ケイズギフト”に登ってまいりました。パートナーはいつも仕事などで一緒に行動をともにすることも多いI氏。日程中は流氷がちょうど着岸しており、なかなか絶景のなかでの登攀となりました。久々の泊まり山行が楽しゅうございましたが、ギアなどの選別も見なおす良い機会となりました。

ケイズギフト・下部
ケイズギフト・下部

02/07 10:00岩尾別ゲート〜13:00ケイズギフト上部テン場

初日はのんびりウトロから自然センターへ向かい、財団の職員さんに声をかけてから岩尾別ゲートへ向かう。ここで車をデポし、支度を整えたら泊装備を背負って五湖へ。冬の五湖からの知床連山が美しい。五湖を離れ、スノーシューで樹林を進むと程なくしてケイズギフトの上部へ到着。岩尾別ゲートからは3時間ほど。風の避けられそうな樹林内にテントを張る。眼下には流氷の海。断崖の上のテン場ながら、浜風の心配はそれほどなさそう。テントを設営し水を作ったあと、ジェットボイルの調子が悪くなる。ヘッドの内部にスラッジでも溜まったのか、ガスの出が悪い。

ケイズギフト・全景
ケイズギフト・全景

02/08 5:00起床〜7:30テン場出発〜8:00懸垂下降〜9:00ケイズギフト登攀開始〜13:00登攀終了〜13:30テント撤収〜16:30

早朝の知床は思いの外気温が低かった。しかし、この日も天候は風もなく穏やか。不調のジェットボイルをなんとかだましだまし使って朝食を摂る。厳冬の知床で火がなかったら相当モチベーションは下がっていただろう。太陽が十分に登って幾分暖かく感じられてきたところで、アタック装備にて出発。今回は先に控える知床アイスクライミング遠征のギアテストも兼ねているので、身につけている物は全て超軽量ギア。特にアイゼン(ペツル・ダート)は、アルミ製のヒールパーツを換装して紐で接続するタイプのものを使ってみることに。スクリューも現行品で最軽量のアルミとクロモリハイブリッドのブルーアイスのもの。ケイズギフト上部の落口に続く沢型を下降し、最後の立木にやってきた。ここより3Pの懸垂下降。下の2PはVスレッドによる下降となる。I氏の下降やVスレッド作成はさすが手際が良い。下降しつつも足下に巨大な氷の衝立を目の当たりにし、その迫力に息を飲む。今まで見てきた大きな氷爆とは違ったスケール感であり、縦も横も相当にデカい。

ケイズギフト・核心の2P目
ケイズギフト・核心の2P目

用意を整えクライミングを開始。今回はツルベで行くことに。ど真ん中は水が滴っていたので、やや右寄りの氷の状態の良さそうなラインを登ることに。1P目(西田)は裾の緩斜面でほぼ50m一杯に伸ばす、本番は2P目(I氏)。立ってはいるが幾分ボコボコしている。が、なにせ長く、中間部の殆どをいっぱいまで伸ばす。3P(西田)はややなだらかになった上部へと繋ぐも、懸垂の立木まであと一歩のところで届かず。4P目(I氏)でようやく落口へと達した。
氷の状態は、海岸の氷としては硬かったが層雲峡よりはだいぶ良かったと思われた。度胸と体力が試される滝。ロケーション、クライミングの内容とも北海道随一のルートであると思う。いやぁ、最高のアイスクライミングでした。パートナーに感謝!

ケイズギフト・3P目
ケイズギフト・3P目