今シーズン最後の沢(お仕事)

数日前、森林植生調査のお仕事にてお馴染みのH田くんと日高南部の沢に行ってまいりました。いや~北海道の秋の渓もまた素晴らしいものです。秋晴れの清々しい天気の中、ひたひたと河原に歩を進めていくと「う~ん、やっぱり沢もいいなぁ」としみじみ思います。いっそこのまま河原で焚火でもしながら、一泊したいという衝動にかられましたね。

今シーズンの夏はお仕事続きで全く沢に行けていなかったのですが、日高の沢といえば自分が所属する帯広労山にとっては思い入れの深い場所で、以前の帯広労山は毎週のように激しい日高の沢山行の計画が出されていたものです。共同装備のコッフェルやテントなどにも名無し(日高の険渓の一つ)や1823(七の沢や名無し沢など険渓を擁する無名ピーク)など、素人にはわからない符牒のような名前が付けられており、新入会員の憧れを誘っておりました。

トップの写真は日高の名渓の一つソエマツ沢!!!☆ですが、このような場所のあたりにお仕事で入るということにはとても感無量といいますか、ワクワクするとともに恐ろしくもあります…。

2017年9月6日~9日 カムイエクウチカウシ沢左股直登沢

秋のお楽しみ山行及びトレーニングとして、日高一の険谷と名高いカムエク沢へ行ってきました。滝ばっかしでハラハラドキドキでしたわ!ちなみに核心部の大詰めで雷雨による増水のため北西稜にエスケープしていますが、なんとか生還してきました。以下は山行記録です。Goproビデオもあるよ!

9 月 6 日 晴れ
8:20札内ヒュッテゲート~10:00七ノ沢出合~11:30八ノ沢出合~13:30co999C1
 
まずはアプローチの初日。Oさんが高速の通行止めで30分遅れ、7:30中札内道の駅で集合。今回は日高一の険谷と謳われるカムエク沢に挑戦するということでさすがに緊張を感じた。静内中札内線に入り札内ヒュッテゲートからは準備しておいた自転車を漕いで進む。しかし道がダートになってすぐに雪崩防護柵の敷設工事のユンボが道を塞いでおり作業員がこの先は陥没していて自転車では通れないという。仕方なく自転車をデポして歩くことに。(作業車がいなければ自転車はほとんど七ノ沢まで入れる) 七ノ沢は渇水の様相。八ノ沢へと歩を進めるうち、時間の遅れと天候など勘案して十の沢からのシュンベツ本流下降のルートはやめて八ノ沢から西尾根を下るルートに変更する。八ノ沢へ入り、時間は早いが焚き火のし易いco999の三股で泊とする。
 
7 日 晴れ時々曇り
5:00 c1発~6:00八ノ沢カール~7:20カムエクピーク~西尾根下降~10:30co1381~11:10~co1100付近を北に下降~12:10カムエク沢co830~13:00co930 二股まで偵察~13:20co900C2
 
二日目の天候は上々。co999から八ノ沢を遡行してカムエクピークへ。視界があったので西尾根の下降はスムーズ。上部のヤブはハイマツとタカネナナカマドのミックスで大したことはない。ただしナイフリッジや支尾根のジャンクションピークがあり視界不良時は面倒な行軍となるだろう。co1600くらいからダケカンバや笹が出てきて鹿道もちらほらと出て来る。熊の糞や形跡も非常に多い。co1381はテンバによさそうな平坦地の鹿の集会場。co1100まで下って北に折れ、ルンゼを沢床まで下降。昼過ぎにはカムエク沢に降り立った。時間も早いので少し進んでみることに。co900も超えるとすぐに険谷の雰囲気が出て来る。co930二股の滝はロープが必要そうだったので co900まで戻ってC2とする。焚き火にあたりつつ、Oさんのマーボー豆腐を食ってカムエク沢の水割りに酔いしれていると人生の至福を感じた。
 
8 日 晴れ~曇り~雷雨~晴れ~雨~晴れ
4:50C2発~5:00co930二股~7:25co1030二股~8:50co1070cs滝~11:00co1189二股~高巻き~14:00co1260二股へ懸垂~14:20co1270滝~高巻き途中より北西稜へエスケープ~16:20北西稜 co1520付近bv 
 
決戦の日。天気も良く水温もさほど冷たくない中、カムエク沢を突き進む。なるほど噂に違わぬ連瀑。ずーっと滝。屈曲点は全部滝でその間も滝。今回は10mほどの長めのお助けロープを持ってきたのでこれをよく活用した。釜滝やら函滝など一体いくつ出てきただろうか。CSの滝も3つほど。泳ぎが2回とシャワークライムも3回ほど。co1150 から右への屈曲以降は例年の雪渓地帯と思われるが雪渓は無くなっていて、ただ木っ端と泥の堆積が函地形に降り積もっていた。二段の直瀑を右岸バンドから巻き進んでみると出てきました。この沢の核心と言われるco1189の大滝。二段になっていて70mはあろうか。近寄ってみると下部は脆そうで上はツルツル。我々は一番簡単そうな右と左の間にある中央リッジに登路を取ってみることにした。Oさんが空身で1ピッチリード。その上は草付きをフリーで登り、上部樹林帯まで上がって更に上にある登れそうもない3つの滝をまとめて巻いた。この高巻き途中から見えた景色はなかなか忘れがたいもので、相当の高みから更に信じられないほど上部にまで大きな滝が望めた。眼下co1220付近には広いガレの堆積があってテンバになりそう。co1260の二股の枝沢まで巻き下って最後は滝の中間までの懸垂で沢床へ降り立った。このころから雷鳴が鳴り響き急速に天気は悪化。この地点から左股に入るため、ロープを付けて隣の左股の滝へと草付き斜面をトラバース。左股の滝本体も登れないので結局更に垂直の灌木斜面を巻き上がる。これはYさんがザックを背負ったまま登ったが今山行一番悪いピッチであった。Oさんと二人でおっちゃんの泥臭いクライミングを見届けながら、僕の心のなかでは柳ジョージとレイニーウッドの「雨に泣いている」が流れていた。沢は豪雨のため短時間で増水してしまい濁りはじめていた。四方が岩盤地帯ゆえ増水がやたら早いんである。にわか雨であることはわかっていたが時間も押しているのでもはや遡行困難であることは必至。協議の結果、巻き上がった地点からそのまま北西稜を登ってエスケープすることにする。Oさんは沢から離れるのが口惜しそう。もし今回シュンベツ川下降のルートを取っていたり、co1189の大滝の処理で水流脇を直登していたら増水で面倒なことになっていたかもしれない。その後も降ったりやんだりしながら急傾斜のヤブの中を少しでも平坦なところを探しながら co1520くらいまで登りビバーク。水をくんできていないのが辛かったが、条件の悪い寝床ながら疲労が激しくて皆それなりに眠った。夜半風が強くゴ~ゴ~と不穏な唸りを上げていた。
 
9 日 晴れ
5:20co1520付近発~6:00北西稜co1600 付近よりカムエク沢左股直登沢co1540付近へ再下降~8:30カムエクピーク~10:00八ノ沢カール~12:45八ノ沢出合~13:45七ノ沢出合~15:30札内ヒュッテゲート
 
朝起きると風が強い。冷たい沢ウェアを着るのは気が進まない。というかこうも風が強くては身体がもたん…と思いながら上半身だけ乾いた服で出発。強風でヤブに朝露がついていないのがありがたい。co1600 まで登ると当然のようにハイマツが出てきた。ちょうど視界が広まり左に沢筋が見えてきたのでトラバースして再度直登沢に戻ることにする。沢の水でラーメンを作って遅い朝食を摂る。8:30 にカムエクピークへ到着。すっかり紅葉が進んでいて、秋の素晴らしい景色の中ガッチリとOっつとYさんと握手を交わした。いや~凄い沢でしたわ。やっぱり日高の沢はいいっすな!