ゴローの登山靴・ブーティエル、開封&レビュー動画をYou tubeに公開

こんにちは登山ガイドの西田です。先日2月の半ばくらいのことですが、昨年2023年9月下旬に注文していたゴロー・ブーティエルがとうとう到着いたしました。私がブーティエルを作成していただくのは今回が3回めで、初代を14年、2代目を7年履きました。共にリソールは1回だけだったのですが、登山ガイドという職業柄やはり使い方が激しいようで…なんせ3シーズン全ての山でどちらかを履いていましたから…ちなみに数えてみると2023シーズンはお客様の登山のガイディングが30回ほどで、そのうち10回が山中泊付きの登山でした。まぁ、これでは登山靴も酷使と言って過言ではない状態でしょうね。しかも北海道の山の登山道はワイルダネス度が高く、登山靴への負荷も高いですからね~。リソールしながら7年というのもある意味よくもった方ではないでしょうか。初代が14年もったのは、最後の方は痛みすぎていてあまり履いて居なかったということもあります。一般の方でしたら何十年ももつかもしれませんね。

以前より私は再三申しておりますが、このブーティエル、履き心地はまずもって極上です。だってパターンオーダーですからねぇ。しかもオールレザーなので、履けば履くほどに足型によく馴染み、一度これを履くと他の靴では不満を感じるようになってしまうかもしれません。ただし、足型は人それぞれ千差万別なので、オーソドックスな足型で既成靴でもなんでも割とよく合うような人には色々な選択肢もあるので、この限りでは無いとは思いますが。目指す山も体力も人それぞれですしねえ。とはいえ、昔ながらの求道的な職人さんのカウンセリングを元に作成されるこの靴は、そもそもの作り・材質の良さも相まって、やっぱり素晴らしいと思います。登山靴界のオールデン、JMウェストンであります(知らんけど)。というかですよ、14年前のオーダー履歴がきっちりと残っていて、登山靴の痛み方の変遷から僕の体型変化などを踏まえたおすすめのカスタムなどを相談させていただけましたが…これって凄いことだと思いません?わたくしもこのようなお客様を思った仕立てのできるガイドでありたいと思っております。今シーズンはこの靴でお客様のご案内を差し上げようと思っている次第でございます。

そんなゴロー君への思いをこの度は動画にしてみました。一回ちゃんとまともにガイドとして、こういう語り込みの動画を作ってみたかったんですよねぇ。で、作ってみると以外なほど難しかったです。語りの部分の細かな修正はもちろん、光の具合やら、ホコリの映り込みやら…結構何十回となく撮り直してしまいましたが…所詮素人の余技ですが、ユーチューバーという人たちはこれを毎日のようにやっているのですから大変ですねぇ。とまぁ、そんなこんなでございますが、ゴロー・ブーティエルの開封&レビュー動画でした。ひまつぶしにでもご笑覧くだされば幸いです。

登山靴の話(ゴロー・ブーティエル vs スポルティバ・エクイリビウム)

こんにちは、登山ガイドの西田です。登山において行動中にもっとも重要なギアといえば、それはもう登山靴ということになりますね。私は職業柄、登山靴には毎日毎日晴れの日も雨の日も大変お世話になっております。また、重要なギアなので最もこだわりや愛着も強いですね。ガイドは重めの荷物を担いでお客様の安全を確保しながら怪我無く、さまざまな悪路を年間何十日も歩き続けなければなりません。まぁ当然ですが登山がハードになるほど登山靴の重要性は増していきますね。それは一般登山者にも同じなのですがこれは軽視されがちで、山で見かけるかぎりスニーカーとそれほど変わらないような柔かめのライトな靴を履いている人が多いですね。「登山靴」といえないようなスニーカーに近いもの、トレランシューズやアプローチシューズを履いている人も多いです。が、基本的には足腰の筋力の弱い一般登山者の方が登山靴にかかる重要性は強いのですがね。 若い人やパワーのある人は、体力で全てをカバーすればスリッパでもなんでも大丈夫です笑

端的に申しますと、柔らかすぎる靴は登山行動中のリスクに繋がりやすいです。歩みスピードも落ち且つ疲労しやく、雪渓やザレ、岩稜などの不安定地形にも弱いです。なぜでしょうか?4WDの車の構造を考えてみましょう。スズキのジムニーやランクルなどの車はラダーフレームといって、シャシーがはしご状の構造になっており車体の剛性を向上させています。この頑丈な骨組みにより凹凸の激しい悪路などで車体が捻れたり撓んだりすることによるパワーのロスを防いでいるのですね。

これは登山靴も同じことが言え、高い剛性をもつ靴は不整地ほど真価を発揮します。柔らかい靴は靴全体が不整地形の凹凸をそのまま受け、ソールもロールして踏ん張りがききません。ソールパターンも倒れやすくフリクションが犠牲になりがちです。柔らかいアッパーは当然足首や甲などの保護力も弱いです。なんで、柔らかい靴は悪路では安定性が悪く滑る疲るというわけです。軽くて安めの値段設定なので、どうしてもみんな手を出しちゃいがちですがね。トムラウシや大雪山などを歩く一般的な用途の「登山靴」を想定しても、両手で 曲げようとしてもソールが屈曲しずらい程度の靴の剛性はあったほうがいいです。

私が個人的に最も信頼して長年履いているバランスの良い登山靴は「ゴロー・ブーティエル」(写真真中・右端)。この靴は表出し皮革とゴアテックスブーティでできており、巣鴨の職人さんがカウンセリングと採寸のすえセミオーダーメイドで作ってくれるド定番。 やっぱりオーダー&革のフィット感と質実剛健な作りは逸品です。ソールを 張り替えながら茶色は14年、黒い方は7年履きました。今シーズンはガイドが忙しく計画もハードだったせいか、どちらもミッドソールが破損してしまい退任となってしまいましたが、すぐさままた新しいのをオーダー中です。そしてびっくりしたんですが、電話で森本さんのお話を聞いたところ靴の状態から私の体型や足幅の変化を指摘されるんです…。 そしてミッドソールにも皮革を使った特別スパルタン仕様の一足を提案していただきました。いやぁ出来上がるのが楽しみ!

で、シーズン中にピンチヒッターで購入したのが最近山の中で見かける機会が多い「スポルティバ・エクイリビウム」(写真左端)。これは特に同業者が履いている人が多いので、気にはなっていたんですよね。印象としては最新の靴ということもありとにかく軽量。足入れも既成靴としてはトップクラスでしょう。しっかりとしたシャンク・アッパー剛性、であるにもかかわらず足首の屈曲性もいいですね。フリクションも相当いいです。これはアルプスの岩稜むけということもあるのでしょう。ただし、足がかなり蒸れやすいのが気になりました。靴の総評としてはすいませんすっごく良いのですが、所詮プレタポルテとクチュールの違いです。その道うん十年もの職人さんのカウンセリング付きのゴローはやっぱりすごいですよ。私はどちらかというと新しもの好きな気性ですが、登山靴の関してはオールドスクール派ですね。履き続けてきた結果としてますますゴローが好きなんでしょうがないっす。

有限会社ゴローさん、矜持を持った素晴らしい仕事を続けていてくれて感謝です!

有限会社 ゴロー (goro.co.jp)

ゴローのブーティエル、リソール完了。

皆様お世話になっております。ガイドの西田です。新型肺炎コロナの影響ですっかり静まり返ってしまった北海道の体験観光業界ですが、早期収束の願いもこめつつグリーンシーズンに向けてギアの整理や修繕・準備など行っている今日この頃でございます。

山道具で最も大切なギアといえばやっぱり登山靴ですね。というわけで、今回はわたくしの夏山登山ガイドのすべての山行の相棒であるゴローのブーティエルをリソールに出してみました。そろそろ靴底のゴムがちびてきていて、若干滑りが気になっていたんですよね。ちなみに、張替えのサインは、かかと側のソールが溝より数ミリ削れると目安だそうです。

古びたソールのゴロー・ブーティエル
古びたソールのゴロー・ブーティエル

そんな私の黒と茶のブーティエルですが、茶はかれこれ11年、黒は4年ほど履いております。このよく知られたセミオーダー登山靴であるゴローブーティエル君、これだけ履いておりますと元々の足入れの良さ・フィット感も相まって、極上の履き心地でまさに登山靴のロールスロイス…もう普通の既成登山靴など履けなくなってしまいました。ま、ロールスロイスなど乗ったことはございませんが…。

リソール後のゴロー・ブーティエル
リソール後のゴロー・ブーティエル

リソールは3月末に出して一週間ほどで完了し返ってきました。料金は一足9000円(税別)、かかとの革のほつれなども治していただきました。うーん、新しいソールは気持ちが良いですね!というわけで、今シーズンもよろしくお願いいたします!

我が家の登山靴たち
我が家の登山靴たち

2016年11月1日 夏山納め&ゴロー・ブーティエル

雪と紅葉
雪と紅葉

今年もあっという間に夏山シーズンが終わり、山は冬入り前となってしまいました。天候不順も少なくなかったなか、たくさんの皆様と山をご一緒させていただき、幸いでした。今シーズンも本当にありがとうございました!

ところで、みなさん夏山ではどんな山靴を愛用しておりますでしょうか?僕は長らくゴローのブーティエルを履いております。この靴はいわゆるパターンオーダーなのですが、東京は巣鴨にある小ぢんまりとしたこちらのお店に行くとご主人が足型をとってくれ、かかとは何ミリ出すとか足首は細めとか、人間左右で足のサイズも若干違うもので左は4mm大きいとか、その人に合わせた一足をこの道一筋何十年といった職人さんが丹精こめて作ってくれるわけです。http://www.goro.co.jp

ゴローのブーティエル
ゴローのブーティエル

左の茶色は7年履いてますが、革靴のフィット感も素晴らしく、まだまだいたってしっかりしてます。右の黒は今度新しく作ってもらった新品で、全く同じゴロー・ブーティエルです。違いといえば、茶色には自分の足で型を取った熱形成フォームの中敷きが入っているのですが、これは今ではもう制作していないそうで、黒い方にはB+の中敷きが入っているという点。このB+の中敷きは一般市販品ですが、驚いたことに端がきちんとリューターで面取りされているのです。ご主人によると、これは内部のゴアブーティを傷つけないための工夫だそうですが…いやー仕事が恐ろしく念入りですねぇ。当然この靴の履き心地の良さといったらないわけで、他の靴は履く気がしません。値段もトータルで4万4千円くらいですから、既成靴とそんなに変わりないですよね。登山靴は山登りで一番大切な道具。快適な靴は楽しみをもたらしてくれます。ゴロー君今年もありがとう!

きちんと面取りされたインソール
きちんと面取りされたインソール

さぁこれから冬シーズン。今年の冬も楽しみですねぇ!