2021/08/11~14 幌尻岳登山ガイド(新冠ルート)

幌尻岳登山道

みなさまこんにちは。ガイドの西田です。今シーズン二回目の幌尻岳登山ガイドプランということで、今度は新冠ルートからの幌尻岳へ行って参りました。催行当日はちょうど台風の翌日。お客様は果たして北海道に来られるのかといった心配もありましたが、首尾よく無事に新冠の「ふかふか亭」にてガイドミーティング。聞けば幌尻林道も通行止め~直前に解除になったばかりで、なんともギリギリセーフのタイミングだったのでした。鹿肉の美味しい夕食を頂きながら、まずは幌尻岳登山のレクチャーなど。

この夏は随分と北海道は暑かったのですが、台風によりかき乱された大気の影響で、気温が一気にぐっと涼しくなり、痛ましいことに十勝連邦では疲労凍死による事故が発生しておりました。黒岳では初雪予報まで…。この気温差の大きさが北海道の山の恐ろしさなのです。晴れればルンルンの幌尻も悪天となれば一転試練の山となりえます。本州から来られる登山者さん達は8月の北海道の山となれば、夏山気分で手薄な装備でやって来る方も多く散見されます。北海道の山は、営業小屋も無ければ道標や笹刈りも最小限、ヒグマは毎日出てくるといったような野趣溢れる土地柄です。しっかりとした準備の上でおこしください。

さて、入山日当日はといいますと、まずまずの天気で雲は多いものの晴れ間が見えておりました。ただし気温は妙に肌寒い…数日前のうだるような暑さが嘘のようです。まずは新冠ルート名物の長い長い林道をイドンナップ山荘まで3時間のドライブ。駐車場には車が数台留まっておりました。出発準備を済ませ更にここから幌尻林道へと歩を進めます。ここから先は北電の管理による林道なので、許可の無い人は車はもちろんバイクも自転車も入ることはできません。ヒグマに注意しながら、樹木や花のこと、最近登った山のことなど色々お話しながらひたすら歩き続けます。

奥新冠ダムを経て6時間近くも長い幌尻林道を歩くと、ようやく新冠幌尻山荘へ到着。三角屋根のこの素朴な山小屋は無人小屋ではありますが、薪ストーブもトイレも水場も携帯トイレ回収ボックスまでもがあり、管理も行き届いていて快適そのもの。すでに先行者が数人泊装備を広げておりました。私達は昼過ぎには到着しのんびりと水つくりなどをしながら、明日の山への期待を膨らませておりました。ちなみにこの新冠幌尻山荘は要予約なのでご注意のこと。

私達は2泊3日での山行計画を立てていましたので、登頂日はアタックのみのスケジュール。4時起き6時発の予定でしたが、1泊2日でアタックと下山をする人が朝3時からだんだん起きてきますので、つられて早く目が覚めてしまいました。まぁ小屋泊あるあるでしょう。そんなこんなでゆっくりと朝食と準備をすませ5時20分ほどに出発。幸い天気は雲が多めの晴れといったところ。気温は15℃前後。

幌尻沢沿いを高巻きを交えながら徐々に登っていくと、二股のところで渡渉が出てきます。ここは石伝いに渡れますので全く異問題ありません。この先登山道は2本の沢に挟まれた尾根上を進んで行きますが、ご多分に漏れず日高らしい急勾配のこの登山道では笹が優勢しており、両手を使った藪こぎを強いられるます…が、この程度は日高では当たりまえの事。高度を稼いでいくと、もう一度沢に近づきつつ尾根が細くなっている箇所が出てきます。ここは両側とも切り立っていますので滑落に注意して慎重に渡りましょう。

そんなこんなで3時間ほども登ると次第に視界がひらけてきて、あたりの景色がお花畑に切り替わって行きます。残念ながらここ今シーズンの暑さでは花は終わりに近く、ウメバチソウ、ウサギギク、ウスユキトウヒレン、ナガバキタアザミ、ミヤマリンドウ、エゾシオガマ、アキキリンソウなどが少し元気なさげに咲いておりました。とは言え、大岩以後の幌尻岳の景色はやはり雄大そのもの。お客様にもご満足いただけたようです。T様、この度はありがとうございました!気が向いたらまた北海道へ遊びにいらっしゃってくださいね。