2021/08/17 トムラウシ山登山ガイド(短縮登山口ルート)

トムラウシ山

皆様こんにちは。登山ガイドの西田です。今回は先日岐阜からおこしのN様をご案内させていただいたトムラウシ山の登山ガイドプラン短縮登山口ルートの山行を紹介いたします。

当日は朝五時に短縮登山口にてガイドミーティング。朝霧の中の短縮登山口の駐車場では数名の登山者が出発準備をしておりました。短縮登山口はバイオトイレブースや携帯トイレ回収ボックスがあったり、驚いたことに携帯トイレそのものも「お持ちください(500円)」と書いた引き出し式のセルフ購入ボックスに用意されておりました。このように、北海道山中ではもはや携帯トイレの利用が常識となりつつあります。皆様利用協力の方よろしくお願い致します。また、登山口付近にはソーラー駆動式の携帯電波鉄塔が建てられており、携帯電波もバッチリ入るようになっていました。いやぁ、これは不測の事態には心強いですねぇ。

さて、深い霧の中を出発してみると、次第に尾根に上がるにつれて雲が低いことがわかってきました。カムイ天上あたりでは里は雲海の下、十勝連邦も見渡せるようになってきました。つまり我々は雲の中から上に抜けたようです。上空には青空が広がりつつあります。

そうこうしつつも尾根上の樹林帯を進みつつコマドリ沢を下り且つ渡ると、雪渓の残骸跡にトカチフウロやチシマノキンバイソウ、エゾヒメクワガタ、ウサギギクなどが咲き乱れておりました。チングルマはすでに綿毛になっているご様子。ここから登山道はトムラウシ名物ロックガーデンへと突き進みます。秋前の餌収集なのか暖かくなって日向ぼっこでもしているのでしょうか、ナキウサギの鳴き声がずーっとこだましておりました。姿はほんの一瞬見えただけで写真を撮る間もありませんでしたが。

そんなこんなで、前トム平、トムラウシ公園と経て南沼キャンプ地へと歩をすすめます。ここは登山者の排泄物問題が非常に問題となっていた場所で、以前は日本で一番汚いテントサイトとして有名だったところ。野営地の周りには、ヤブの中で用を足すための「キジ撃ち道」が裸地化した筋道を作ってしまっています。今は立派な携帯トイレブースが二箇所あり、私達もしっかりと利用させていただきました。

しだいに雲が登ってくるのが見て取れ、我々も頂上へと進みます。頂上直下の岩場をやり過ごすと程なくして「トムラウシ山 2141m」の看板の前に出ました。頂上からは旭岳方面こそ望めないものの、化雲岳や黄金ヶ原、三川台、ヒサゴ沼などが見えました。

天気予報では不安定さが心配なこの日のトムラウシでしたが、下山時もなんとか天候はもってくれました。下山は15時でちょうど行動時間が10時間でした。トムラウシ山は短縮登山口ルートでもやっぱり遠い!遥かなる山なのでした。N様、気が向いたらまた北海道へ遊びにいらっしゃってくださいね。