最近の熊事情

知床 ヒグマ

皆様こんにちは。西田です。今日は熊の話。ニュースなどでお聞き知りの事かもしれませんが、近年ヒグマが増えていると言われて久しいですね。札幌市内にまで出没した熊が市民を困らせてしまった、というニュースも見られます。昔みたいに狩ったり捕まえたりする人が少なったことからでしょうが、間違いなくちょっと前より見かけることが多くなってきたと思います。

熊は大変賢く慎重な動物なので、本来むやみに人間に姿を見せるということはあまりありません。近くに居ても忍者のように人間からは潜んで身を隠しているということが多いのです。しかし本来そうであっても、おそらくその許容範囲を越えて絶対数が多くなっているようで、道路や畑に出てきてしまう熊さんも多いのでしょう。最近では、阿寒周辺でも年に数回はヒグマを見かける状態です。( 実は昨日2022/6/12も雌阿寒への分岐付近で見かけました。 )なかでも雌阿寒岳周辺、阿寒湖の雄阿寒岳登山口周辺、阿寒町や湿原などが多いようですね。釧路市の熊出没情報を見ても、明らかにこのエリアは目撃情報が多いです。

よくお客様から熊が怖いのですが大丈夫でしょうか?というお問い合わせを頂きます。この問に対する答えは「北海道はほぼ全域ヒグマの出没エリアで、基本的に大丈夫な場所はありません。」ということになります。ただし、ヒグマはむやみに人間を襲う生き物ではありませんので、ただしく生態を理解し、ただしく安全管理を行いながら行動すればこの限りではありません。 ですが近年危ないと感じる事例も多くあります。例えば登山中の事故は、2019年のカムエクの事故や、2020年の硫黄山でのザック物色、昨年北戸蔦別岳(幌尻岳)のニアミスなどが目新しいところでしょうか。この事例の要因は、間違いなくザックや荷物デポによる人害だと私は考えています。ヒグマや狐の誘引の原因となるので、山中での荷物デポはしてはいけないのです。

鹿もタンチョウも熊など動物たちが増えて何よりですが、人間社会と自然との付き合い方の道理があるのでしょう。昔アイヌ民族はヒグマを最高位の神と敬い、尊敬の念をもって接してきました。自然のもの全てに神が宿っていると考えられており、イオマンテというカムイの魂を踊りや宴とともに天上に送る儀式があったのです。現代の私達も、自然への敬いを忘れてはいけませんね。ちょうど先日もイオマンテの記録映画が公開されましたよ。この映画は、NHK日本百名山でお仕事をご一緒させていただいた方がプロデュースされたものなのです。 出てくるのは、わたくしの実家の周りのおじさんおばさん達ですがね。ご興味のある方はぜひ。

映画「チロンヌㇷ゚カムイ イオマンテ」 (iomantefilm.com)

さて、今シーズンも十分にお気をつけて、北海道の自然をお楽しみ頂ますようお願い致します。