2026/06/21 ニペソツ山登山ガイド

皆様こんにちは。登山ガイドの西田です。6月21日の夏至、東大雪の気高き尖峰・ニペソツ山(2,013m)のガイド山行の様子をまとめました!プロの登山ガイドの視点から、この時期ならではの魅力とリアルなトレイルの状況をお届けします。

【登山レポート】6月21日 夏至のニペソツ山。残雪と高山植物の楽園へ

6月21日、一年で最も昼が長い「夏至」の日に、深田久弥が日本百名山に入れなかったことを悔やんだ名峰・ニペソツ山へお客さまと共に行ってきました。

現在のメインルートである幌加温泉コースは、往復約25km、標準コースタイム13時間超えのタフなロングトレイル。体力的にはハードですが、それを補って余りある絶景に出会えた一日の記録です。

🏔️ 6月21日現在のトレイル状況と見どころ

1. 樹林帯~前天狗(残雪と踏み抜きに注意)

登山口からしばらくは、美しい針葉樹林の急登が続きます。標高を上げるにつれ、この時期特有の「夏道と雪渓のミックス」に。 前天狗の手前の沢型からは部分的にしっかりとした雪渓が残っており、特に早朝の低気温での雪の氷化によるスリップに注意が必要です。今回はお客様も慣れている方でしたので軽アイゼンで素早く切り抜けられましたが、不安な方は12本爪アイゼンやピッケルの携行をおすすめします。

2. 前天狗~天狗のコル(高山植物の目覚め)

視界が開け、前天狗に飛び出すと目の前に「東大雪の槍ヶ岳」とも呼ばれる鋭利な山容がドカン!と現れ…といいたいところですが、あいにくのガス…。視界は悪いながらも、天候の不安定さはさほど感じられなかったので、更に歩みを進めます。

しかし、この稜線歩きのご褒美が、咲き始めたばかりの高山植物たちです。

  • キバナシャクナゲ(淡い黄色の大きな花がハイマツの緑に映えます)
  • コケモモの小さな蕾
  • メアカンキンバイ(黄色い絨毯のよう)

そして、岩場からは「チチッ、チチッ」とエゾナキウサギの可愛い警戒声が響いていました。運よく岩の隙間から顔を出してくれた姿を観察でき、疲れが一気に吹き飛びます。

3. 天狗のコル~山頂へのビクトリーロード

天狗のコル(鞍部)へ一度大きく下る斜面ではさらに体力が削られます。一歩々々慎重に、下りはスリップに注意しながらステップを刻みます。 ここからの登り返しは岩がゴロゴロした急登。一歩一歩確実に足を運び、ついに標高2,013mの頂へ!

夏至の突き抜けるような青空のもと、山頂からは十勝岳連峰、大雪山系、そしてお隣の石狩岳へと続く大パノラマが広がっていました。遮るもののない360度の絶景は、ロングコースを歩き抜いた人だけが味わえる特権です。

💡 ガイドからのワンポイント・アドバイス

6月下旬のニペソツ山に挑戦する際は、以下のポイントを意識してください。

⚠️ 水分の確保と、ヒグマ対策は万全に

  • 行動水: 遮るもののない稜線歩きが長いため、気温が高くなると一気に水分を消費します。最低でも2.5L〜3Lの水を持参しましょう。
  • クマ鈴・スプレー: 東大雪エリアは濃いヒグマの生息地です。樹林帯では声を出し、必ずクマスプレーをすぐ抜ける位置に装備してください。
  • 行動食: 10時間近い行動になるため、シャリバテ(エネルギー切れ)を防ぐために、歩きながらこまめに補給できるジェルやナッツが有効です。
  • 天候:長い頂上稜線ではしばしば急な天候変化が問題になることがあります。無理のない行動を心がけましょう。

夏至の長い1日をフルに使い、大きなトラブルもなく卒無く幌加温泉へ下山。いや〜えがったえがった。ニペソツ山はこれから本格的な夏山シーズンを迎え、高山植物がさらに咲き乱れます。タフですが、間違いなく北海道屈指の名峰です。ぜひ皆さんも万全の準備で挑戦してみてくださいね。

ご参加いただいたIさま、本当にお疲れ様でした!また次の山でお会いしましょう!