2021/12/28 雌阿寒岳登山ガイド

こんにちは、ガイドの西田です。2021年最後にご一緒させていただいたのは、本州からおこしのN様。今回の雌阿寒岳登山の計画は野中温泉→雌阿寒岳頂上→阿寒富士→オンネトールート下山というラウンドコースだったのですが、冬のこのコースはなかなかの健脚者向け。 風の影響を強く受ける雌阿寒岳では、 少し天候が悪いだけでもハードなルートです。

雌阿寒岳頂上より
雌阿寒岳頂上より

そんな心配をよそに催行当日は最高の天気。風もほとんど無く、4合目以降ともなると遠く大雪や東大雪などがよく見えました。やはり今年は雪が極端に少ない!それでも寒さはいつもどおりで、山行中はほぼずーっとマイナス20℃前後。北海道の厳冬期はかなり手足が冷えます。かじかむくらいで済めばいいですが、凍傷一度くらいは簡単になってしまいますので細心の注意が必要です。スマホ撮影のために素手になるようなことは厳禁です。タッチ対応手袋をご利用ください。

雌阿寒岳頂上付近
雌阿寒岳頂上付近

晴天のもと、そつなく雌阿寒岳ピークを踏み阿寒富士へ。雪面へアイゼンのツァッケが小気味いい音を立てて食い込みます。ちなみに阿寒富士の登山ルートは北東面になりますのでより寒さが身に沁みます。ピークからは遠く釧路湿原や国後島までが見渡せました。そんなこんなで阿寒富士からオンネトールート経由で下山。樹林帯の登山道をお客様と北海道の山や海外遠征のお話などをしながら歩くのは楽しいひと時です。

阿寒富士
阿寒富士

オンネトーに降りて、今しがた登った雌阿寒岳と阿寒富士をバックに記念撮影。驚いたことに今年の少雪が幸いして、湖面の雪を除雪するとまだアイスバブルを観察することができました。湖面の半分以上の部分では積雪のせいで雪氷に変わっていましたが。N様また気が向いたら北海道の山へ遊びに来てくださいね!また、今年も色々大変な年でしたが、多くのお客様にご愛顧いただきまして心より感謝申し上げます。来年も皆様にとっていい年でありますことを心よりお祈りいたします。

2021/12/18~19 オンネトートレッキング&雌阿寒岳登山ガイドプラン

こんにちはガイドの西田です。先日は二日間に渡りリピーターのH様ご夫妻を、オンネトーと雌阿寒岳へご案内させていただきました。1日めのオンネトーではオンネトーの凍結湖面やアイスバブルを観察、また冬山歩行やアイゼンなどのトレーニングおよびレクチャーを行い、首尾よく翌日には雌阿寒岳の本番へとつなげることが出来ました。

雌阿寒岳登山催行当日は、なんと朝から気温はマイナス16℃。山中では終始マイナス20℃ほどと極低温下での登山となりました。冬山初心者のお二人にはかなり本格的な北海道の冬山をご体験頂いたかと思いいます。当日天気は素晴らしく、低温環境ではありましたが青空の下快適な登山を行うことが出来ました。というのも、このお二人は大変ご聡明で慎重な方々で、適切でしっかりした一分のスキもない冬山装備で挑んでくれたので、マイナス20℃でも問題なく登山が完遂出来たのでした。


極低温の冬山ではかんたんに凍傷や低体温症になってしまいます。雌阿寒岳は技術的には易しい山ですが、森林限界が低く、低温の上に強風リスクが大きい山です。低い山なのでフラッと登って危ない目に合われている方も少なくありません。他の一般登山者を見ていると、服装やギアの持ち方などいろいろな部分で自己流でおかしな事をやっている方のなんと多いことか!
今一度ご自身の山の基礎技術を精査・確認してみるためにも、ガイドをご依頼してみませんか?よろしくお願いいたします。

PayPay(ペイペイ)はじめました

皆さまこんにちは。ガイドの西田です。この度、お客様がよりここちよく当サービスをご利用いただけるように、PayPay(ペイペイ)によるキャッシュレス決済をはじめました。もっぱら私自身が最近PayPayをよく利用するようになり、これは便利だな~と思ったのがきっかけです。PayPay加盟店ではALi PayやLine PayなどもQRコードをそのまま読み込むことによってご利用いただけます。また、PayPayは各種クーポンやキャンペーンなどもたくさん行われていますので、有用にご活用いただけるかと思います。よろしくお願いいたします。

どうみん割&ほっかいどう応援クーポン

皆さまこんばんは。ガイドの西田です。12/6より当方では、どうみん割およびほっかいどう応援クーポンをご利用いただけます。道民の利用者は最大5000円の割引と2000円のクーポンが貰えちゃいますので、めちゃめちゃお得です。詳細は下記関係サイトにて。ふるってご利用くださいませ。

どうみん割
https://douminwari.jp/

ほっかいどう応援クーポン
https://hokkaido-ouen.jp/

2022年シーズン、幌尻山荘の予約スタートのお知らせ(12/15より)

皆さまこんにちは。ガイドの西田です。表題のとおり2022年シーズンの幌尻岳登山について、幌尻山荘、シャトルバス、とよぬか山荘(前・後泊拠点)のインターネット予約が2021/12/15からスタートされるとのことです。ちなみに、電話予約は2022/04/01からだそうな。

額平川ルートはもう2年も入れておりませんが来年はどうなることでしょうねぇ。今年は新冠ルートも途中から通行禁止になってしまいましたので、今後のコロナ状況が懸念されるところではありますが…。ちなみに、私の今シーズンの幌尻岳ガイディングは、チロロルートの日帰りと、通行禁止になる前に新冠ルートからの2本でした。来シーズン額平川ルートが行けるとなるといつもより本数は多くなるかもしれません。ご予約ご検討の方はお早めにご連絡ください。

幌尻岳登山関連施設の詳しくは下記サイトをご覧ください。

http://horoshiri-biratori.jp/

2021/11/29 オンネトートレッキングガイド

皆様こんにちは。ガイドの西田です。11/29に東京からお来しのM様をオンネトーのトレッキングへご案内させていただきました。現場状況などと合わせての報告です。今シーズンはつい最近までずーっとなんやかんやと出ずっぱりでしたので、自然散策のガイディングは秋以来久々でした。オンネトーも大分ぶりでしたので、そろそろ凍っているかなと思いきや今年は例年より少し遅く、まだまだほんの凍りかけという感じでした。

オンネトー湖水面の氷はまだ薄く、人が乗れるほどにはなっていません。湖の東岸や旧オンネトー茶屋あたりなど一部の岸際に薄氷が張っているという状態です。翌日の30日は阿寒湖畔でも日中気温が高めで、まだオンネトー全面結氷までは時間が少しかかるかもしれませんね。

いつもこのシーズンは写真撮影や見物客でわりと賑わうオンネトーですが、この日は平日ということもあり、ひっそりと静かなオンネトートレッキングをご満喫いただけたかと思います。M様また気が向いたら遊びに来てくださいね。

2021/09/23~26 羅臼岳、雄阿寒岳、雌阿寒岳登山ガイド

皆様こんにちは。ガイドの西田です。最近すっかり秋めいてきましたねー。そんな用この頃ですが、今回は羅臼岳と雄阿寒岳、雌阿寒岳の三座連続のプランをご案内させていただきました。

まずは23日の羅臼岳。この日はあまり天気予報がよろしくなく、レインウェアを着ながらの山行となることを覚悟していましたが、結局行動中は雨には当たらず、下山途中の最下部だけ少し降っただけで済みました。頂上は雲の上に抜けて青空が広がり、ゆっくりと休憩が出来ました。この日は悪かった天気予報のせいか登山者がかなり少なく、銀冷水あたりですぐ後ろのパーティはヒグマと遭遇していたようです。紅葉は8分といったところでしょうか。ミネカエデや、エゾヤマザクラ、ナナカマドなどが色づいていました。

さて、一日のレストを挟んで25日の雄阿寒岳は、天気予報は晴れだったものの、気圧の谷の影響で麓からなかなかの強風。そんな風にもめげず、太郎湖、次郎湖を経て雄阿寒岳特有の苔むした針葉樹林の急登を登りました。あいにく頂上はガスに巻かれて眺望はきかなかったものの、お客様には静かな阿寒の森の雰囲気を気に入っていただけたようです。

最終日は雌阿寒岳野中温泉ルートのピストン。この日はかなり天気がよく、他の登山者さんもかなり多く駐車場はほぼ満車でした。終始青空の元の登山は気持ちがよく、遠く大雪山系や日高山脈、知床連山など周囲の展望もすべて見渡せていました。しかし、雌阿寒岳の登山ルートの登山者の踏圧の影響が少し見られたのが気になりましたね。以前は登山道ではなかった部分がだんだん複線化しています。おそらくコロナ自粛の揺り戻しで割と気軽に登れる雌阿寒岳のような山に登山者が殺到し、オーバーユース問題が顕著化しているのでしょう。

T様、この度はありがとうございました。また気が向いたら北海道へ遊びにいらっしゃってくださいね。

2021/08/26~28 知床連山縦走ガイド

みなさまこんにちは、ガイドの西田です。最近は北海道の暑い暑い夏もようやく一段落してきましたね。今回は久しぶりに知床連山の縦走ガイドの時の記事をお送りしたいと思います。この山行は西遊旅行さんのツアーということで、知床羅臼の「サライ」さんに前泊をしてのスタート。期間中の天気予報はなかなかの不安定予想で、入山前より羅臼の街はザーザー降り…入山当日に羅臼から知床峠を越える際も、いやいやなかなかの雨と強風…。

そんなこんなで、カムイワッカ林道を進み知床硫黄山の登山口からのスタート。幸いなことに登山開始時にはもう雨は上がっており、気分も盛り上がっていきます。しかし山中でも不安定な天気具合は続き、登山道中でもレインウェアを脱いだり着たり。硫黄沢に入ってからはお日様も出始め、沢床は乾いていたのでF1~2も楽に突破することが出来ました。しかしやはり上部では風が強く、久々の硫黄山もガスと強風によりピークは諦め、早々と第一火口の泊地に到着。夕食までなんとか天気は持ちこたえてくたのもつかの間、夜半には強い雨と風…。

さて翌日も天気は非常に不安定で、こけし岩から先の稜線上は強風で歩けないことは明白。第一火口ですらフードロッカー側は強風を受けているという状態。おそらくこのまま進んでもテン場予定地の羅臼平まではたどり着くことは出来ないでしょう。かなり厳しい状況…。お客様との相談の上撤退することに。

撤退後は羅臼温泉~岩尾別温泉ルートで羅臼岳をワンデイ縦走。最終日は晴れてくれたので羅臼岳からは最高の景色が望めました。このルートもダイナミックで素晴らしくお客様には存分にお楽しみいただけたようです。このように山ではけして心地よい天候の日ばかりではありません。時折自然の驚異が牙をむき人間に的確な判断と試練を与えます。そんなときのために慎重なリスク管理が重要になってきます。この度のツアーでご一緒させていただいた皆様、気が向いたらまた遊びにいらっしゃってくださいね。

2021/08/17 トムラウシ山登山ガイド(短縮登山口ルート)

皆様こんにちは。登山ガイドの西田です。今回は先日岐阜からおこしのN様をご案内させていただいたトムラウシ山の登山ガイドプラン短縮登山口ルートの山行を紹介いたします。

当日は朝五時に短縮登山口にてガイドミーティング。朝霧の中の短縮登山口の駐車場では数名の登山者が出発準備をしておりました。短縮登山口はバイオトイレブースや携帯トイレ回収ボックスがあったり、驚いたことに携帯トイレそのものも「お持ちください(500円)」と書いた引き出し式のセルフ購入ボックスに用意されておりました。このように、北海道山中ではもはや携帯トイレの利用が常識となりつつあります。皆様利用協力の方よろしくお願い致します。また、登山口付近にはソーラー駆動式の携帯電波鉄塔が建てられており、携帯電波もバッチリ入るようになっていました。いやぁ、これは不測の事態には心強いですねぇ。

さて、深い霧の中を出発してみると、次第に尾根に上がるにつれて雲が低いことがわかってきました。カムイ天上あたりでは里は雲海の下、十勝連邦も見渡せるようになってきました。つまり我々は雲の中から上に抜けたようです。上空には青空が広がりつつあります。

そうこうしつつも尾根上の樹林帯を進みつつコマドリ沢を下り且つ渡ると、雪渓の残骸跡にトカチフウロやチシマノキンバイソウ、エゾヒメクワガタ、ウサギギクなどが咲き乱れておりました。チングルマはすでに綿毛になっているご様子。ここから登山道はトムラウシ名物ロックガーデンへと突き進みます。秋前の餌収集なのか暖かくなって日向ぼっこでもしているのでしょうか、ナキウサギの鳴き声がずーっとこだましておりました。姿はほんの一瞬見えただけで写真を撮る間もありませんでしたが。

そんなこんなで、前トム平、トムラウシ公園と経て南沼キャンプ地へと歩をすすめます。ここは登山者の排泄物問題が非常に問題となっていた場所で、以前は日本で一番汚いテントサイトとして有名だったところ。野営地の周りには、ヤブの中で用を足すための「キジ撃ち道」が裸地化した筋道を作ってしまっています。今は立派な携帯トイレブースが二箇所あり、私達もしっかりと利用させていただきました。

しだいに雲が登ってくるのが見て取れ、我々も頂上へと進みます。頂上直下の岩場をやり過ごすと程なくして「トムラウシ山 2141m」の看板の前に出ました。頂上からは旭岳方面こそ望めないものの、化雲岳や黄金ヶ原、三川台、ヒサゴ沼などが見えました。

天気予報では不安定さが心配なこの日のトムラウシでしたが、下山時もなんとか天候はもってくれました。下山は15時でちょうど行動時間が10時間でした。トムラウシ山は短縮登山口ルートでもやっぱり遠い!遥かなる山なのでした。N様、気が向いたらまた北海道へ遊びにいらっしゃってくださいね。

2021/08/11~14 幌尻岳登山ガイド(新冠ルート)

みなさまこんにちは。ガイドの西田です。今シーズン二回目の幌尻岳登山ガイドプランということで、今度は新冠ルートからの幌尻岳へ行って参りました。催行当日はちょうど台風の翌日。お客様は果たして北海道に来られるのかといった心配もありましたが、首尾よく無事に新冠の「ふかふか亭」にてガイドミーティング。聞けば幌尻林道も通行止め~直前に解除になったばかりで、なんともギリギリセーフのタイミングだったのでした。鹿肉の美味しい夕食を頂きながら、まずは幌尻岳登山のレクチャーなど。

この夏は随分と北海道は暑かったのですが、台風によりかき乱された大気の影響で、気温が一気にぐっと涼しくなり、痛ましいことに十勝連邦では疲労凍死による事故が発生しておりました。黒岳では初雪予報まで…。この気温差の大きさが北海道の山の恐ろしさなのです。晴れればルンルンの幌尻も悪天となれば一転試練の山となりえます。本州から来られる登山者さん達は8月の北海道の山となれば、夏山気分で手薄な装備でやって来る方も多く散見されます。北海道の山は、営業小屋も無ければ道標や笹刈りも最小限、ヒグマは毎日出てくるといったような野趣溢れる土地柄です。しっかりとした準備の上でおこしください。

さて、入山日当日はといいますと、まずまずの天気で雲は多いものの晴れ間が見えておりました。ただし気温は妙に肌寒い…数日前のうだるような暑さが嘘のようです。まずは新冠ルート名物の長い長い林道をイドンナップ山荘まで3時間のドライブ。駐車場には車が数台留まっておりました。出発準備を済ませ更にここから幌尻林道へと歩を進めます。ここから先は北電の管理による林道なので、許可の無い人は車はもちろんバイクも自転車も入ることはできません。ヒグマに注意しながら、樹木や花のこと、最近登った山のことなど色々お話しながらひたすら歩き続けます。

奥新冠ダムを経て6時間近くも長い幌尻林道を歩くと、ようやく新冠幌尻山荘へ到着。三角屋根のこの素朴な山小屋は無人小屋ではありますが、薪ストーブもトイレも水場も携帯トイレ回収ボックスまでもがあり、管理も行き届いていて快適そのもの。すでに先行者が数人泊装備を広げておりました。私達は昼過ぎには到着しのんびりと水つくりなどをしながら、明日の山への期待を膨らませておりました。ちなみにこの新冠幌尻山荘は要予約なのでご注意のこと。

私達は2泊3日での山行計画を立てていましたので、登頂日はアタックのみのスケジュール。4時起き6時発の予定でしたが、1泊2日でアタックと下山をする人が朝3時からだんだん起きてきますので、つられて早く目が覚めてしまいました。まぁ小屋泊あるあるでしょう。そんなこんなでゆっくりと朝食と準備をすませ5時20分ほどに出発。幸い天気は雲が多めの晴れといったところ。気温は15℃前後。

幌尻沢沿いを高巻きを交えながら徐々に登っていくと、二股のところで渡渉が出てきます。ここは石伝いに渡れますので全く異問題ありません。この先登山道は2本の沢に挟まれた尾根上を進んで行きますが、ご多分に漏れず日高らしい急勾配のこの登山道では笹が優勢しており、両手を使った藪こぎを強いられるます…が、この程度は日高では当たりまえの事。高度を稼いでいくと、もう一度沢に近づきつつ尾根が細くなっている箇所が出てきます。ここは両側とも切り立っていますので滑落に注意して慎重に渡りましょう。

そんなこんなで3時間ほども登ると次第に視界がひらけてきて、あたりの景色がお花畑に切り替わって行きます。残念ながらここ今シーズンの暑さでは花は終わりに近く、ウメバチソウ、ウサギギク、ウスユキトウヒレン、ナガバキタアザミ、ミヤマリンドウ、エゾシオガマ、アキキリンソウなどが少し元気なさげに咲いておりました。とは言え、大岩以後の幌尻岳の景色はやはり雄大そのもの。お客様にもご満足いただけたようです。T様、この度はありがとうございました!気が向いたらまた北海道へ遊びにいらっしゃってくださいね。