皆さまこんにちは。登山ガイドの西田です。先日はいつもの常連様H様ご夫妻と幌尻岳へ…は全く行ける余地もなく、知床連山へと転戦して見事に完遂してきました。なにせ今シーズンの8月は台風の連続で、天候が不安定。大雨で額平川は濁流となり林道の崩落もあったようでシャトルバスはしばらく運休とのこと。
千歳空港での集合30分後には協議の結果知床へと移動を開始。ただしこれは行き当たりばったりの行動ではなく、あくまで想定内。沢沿いルートである幌尻岳の催行中止はよくあること。あえて山域の離れた知床半島でのサブプランを立てていたのでした。テントやその他の遊び道具など、色々な物で満載の車でしばしの大移動。これはプライベートガイドならではのフットワークの軽さですねぇ。
そんなこんなで千歳空港から7時間ほどでサクッとウトロ夕陽台野営場へ。天候は幸運なことに知床半島だけはなんとかなりそでした。ただし、前線の影響を受けた天候であり期間中は不安定さが予想されたので、最小限の荷物に軽量化したうえで二つ池泊での1泊2日のスピード勝負とすることといたしました。初日は曇り時々晴れといった天候。順調に羅臼岳へ上り、三峰、サシルイ、オッカバケへと進みます。三峰の水場はここ最近の雨も虚しく雫が滴るのみで使い物になる状態ではありませんでした。それにしてもハイマツのヤブをくぐる際に湧き上がってくる羽虫の多いこと多いこと。これは最近の北海道の夏山の特徴となってきてしまいましたねぇ。ちなみに簡潔に書いていますが、ここまでの道中も決して楽な道ではなく上級者向けのルートとなります。
二日目は曇り時々雨、風がやや強いといった予報でした。雷の注意報も出ているのでなるべく早く動き出すことに。3時起き4時40分発くらいでテントを撤収して出発。もう稜線の風は完全に秋。気温は10℃前後といったところでしょうか。たしかにふわふわと風はあるものの南岳~知円別まではハイマツが守ってくれます。荒涼とした地の果ての稜線の上でシレトコスミレの株の多さに驚きながら、休憩もそぞろに歩みを進めます。知円別分岐着が7時頃。中の廊下からはいよいよ強風の細尾根の登高となります。ここが知床連山の核心で風があるとここを渡る際にハイハイを余技なくされてしまいます。この日の風は強い時で8~10mほど。さすが強者のお二人は難なくトレースしてくれました。頼もしい!こけし岩を過ぎ、第二前衛峰から先は、もはや風が支配する世界でしかも雨もパラついています。100リッターザックが猛烈に風で押され、時折耐風姿勢で耐えながらも、なんとか硫黄沢へ入ると風が止みました。ここからは枯滝やハイマツのトンネルなどをくぐり抜け、12:30に新噴火口の最上部へ到着。標高を下げると青空が出てきました。まさにザ・知床。クルクルと変化の激しい山です。ここで携帯の電波が入るので、ウトロハイヤーさんにあと二時間ほどで下山すると連絡。送迎を希望する場合は前もって予約を入れておきましょう。そしてキャンセルの際も必ず連絡を入れましょう。運転手さんはいつも心配してくれています。
14時頃下山をし、温泉の後は斜里のクリオネキャンプ場へ移動。からの焼台でBBQ、サンマ・とうもろこし・豚サガリなどを食しつつ祝杯。クリオネキャンプ場は料金も安く、広く、近くに温泉も有り、ゆる~い感じで良いですね。翌日は大雨予報だったので、網走の北方民族博物館でうちの母ちゃんのアイヌ刺繍をご鑑賞いただきつつ、能取のサンゴ草、北見でハッカ記念館、およびトリトンでお寿司、〆に大雪山高原温泉にお泊りいただき旅の疲れを癒やしていただきました。最終日は糠平から幌鹿峠を抜けて、然別湖でカヤック、カフェ無番地でフレンチトースト、平取ジャンケンポンでビーフカツ定食などをご賞味いただき、夢いっぱいお腹いっぱい楽しさ満載の転戦プランは完結となりました。
こんな盛り沢山な山もなかなかないのではないでしょうか。H様この度もありがとうございました。次の作戦も考えたらまた連絡させていただきます。よろしくお願いいたします~!
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