2023/07/24~27 幌尻岳額平川ルート登山ガイド

皆様こんにちは。北海道の登山トレッキングガイドの西田です。さぁ今回は皆様お待ちかねの幌尻岳の記事です。昨年は8月の大雨での通行止めによる中止となってしまっていたため、この度は非常に久しぶりの幌尻岳額平川ルートのガイディングとなりました。今回ご案内させていただくのは関西からお越しのS様御一行4名様。お客様は12月1日の予約争奪戦をクリアして随分と前から意気込んで計画を組み立ててくださっていたのでした。

まずは7/24(移動日)は、お客様と千歳空港にて合流をし富川のマックスバリュで行動食の準備をし豊糠山荘へ。翌7/25、天候は曇り時々雨(0.5~1mm程度)と微妙ながら、朝は降っておらず出発することに。シャトルバスの2便(8:00)にゆられつつ一時間ほどで第2ゲートバス停(8:45)へ。身支度をして林道を歩き北電取水施設へ(11:30)、ヘルメット着用、渡渉用の靴に履き替えて、最初の渡渉点より額平川へ突入(12:00)、渡渉点の水位は概ね膝下〜太もも程度でした。最初の渡渉で渡るのに苦労するようなら危険増水水位なので諦めて引き返しましょう。今回のお客様はワークマンのネオプレン靴で渡渉していましたが概ね問題はなかったようです。ただし、当然沢専用の靴ではないので石の上では多少滑ります。解決策としては古い靴下をネオプレン靴の外に履かせると大分良くなるようです。歩きに自信がある人はこれでも大丈夫ですね。お金に余裕がある人はフェルト靴を。そんなこんなで幌尻山荘着が14:00。

幌尻山荘の宿泊者数は全部で30名程度(満員時50名)。予約時のパンク状態は旅行代理店の占有が原因なのでしょうか。キャンセルはやはり多いそうで東大雪荘などと一緒の状態ですね。バイオトイレが治っているようで使えるようになっていました。トイレ使用協力金は一日1000円(携帯トイレ一個付き)、携帯トイレブースは無料、毛布、シュラフ、上水は500円です。バイオトイレは朝5時くらいから7:30(消灯時)まで、ザックは小屋の下の倉庫へ、ザックや沢シューズなど濡れ物は基本的に小屋内へは持ち込まないように。

7/25アタック日、夜半に局所的な大雨。3:30くらいにはみんなごそごそやりだし始まるので外の様子を見に行くと、まだ雨模様&沢の増水少々。どうやらこの日は短期的にザッと降り出す不安定な天気。出発を遅らせ雨をやり過ごすことに。6:00発、命の水8:00着。山腹斜面の急登が身体にこたえます。9:00カールバンド到達。どこもかしこもヒグマの掘り返しあとだらけ。圏谷のお花畑が素晴らしい。ガスの間から北カール、戸蔦別岳のルートが覗いたり消えたり。10:20幌尻岳着。気温14℃くらい、風は5〜6メートル程度。なかなか寒く残念ながら視界もそれほどない。戸蔦別岳ラウンドは諦め、記念写真を撮って休憩をしピストンだけで下山することに。花は、ミヤマアズマギク、ウスユキトウヒレン、ナガバキタアザミ、ウサギギク、ハクサンイチゲ、ハイオトギリ、チシマツガザクラ、リンネソウ、イワヒゲ、イワブクロ、イワギキョウ、エゾシオガマ、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、エゾツツジ、チシマフウロ、トカチフウロ、ムカゴトラノオ、アオノツガザクラ、ミヤマダイコンソウなどが咲いていました。写真を撮ったりナキウサギに遭遇したりしながら、14:20幌尻山荘着。

7/26、朝3:30起床(目が覚めてしまう)、山荘5:30出発、北電取水施設7:30、第2ゲート10:20、シャトルバス12:00~豊糠山荘着12:45、帰路の林道は熊糞が10個以上あり(行きでは無かったもの)、なおかつ食痕も非常に多くかなり緊張をしつつ下山しました。林道で見られる花はオニシモツケ、サラシナショウマ、マツヨイグサ、ハンゴンソウ、アカツメクサ、ウツボグサ、ノリウツギ、キツリフネ、ツルアジサイ、ムシトリナデシコなど。

S様、T様、T様、K様、今回はうまくいきましたね!ジャンケンポンにはまた次の機会に。また北海道へ遊びに来てくださいね!

2017年10月14日 知床登山道整備・ヒグマの痕跡

夏山シーズンの締めくくりとして、知床山考舎http://info.trek-shiretoko.com/の滝澤ガイド、伊藤ガイドと共に知床の登山道整備を行って参りました。この、いつもお世話になっている世界遺産の極上トレイルも上部では雪に覆われ、ひっそりと初冬の雰囲気です。

 

初冬の羅臼岳
初冬の羅臼岳

 

銀冷水で携帯トイレブースの冬囲いをしていたら、気づかないうちに登山道方向に熊が横を歩いた足跡がついておりました。雪上についた足跡にはくっきりと爪の痕が残っております。しかも下山間際にはまた別の熊の姿も。

 

熊の足跡@知床
熊の足跡@知床

 

下の画像は東大雪での作業中に撮ったものですが、このように樹にもくっきりと爪痕がついたいることもよくあります。縄張りを主張するためにつけられたりするようですが、いやはやスゴい威力ですねぇ。 

 

樹についた熊の爪痕@東大雪
樹についた熊の爪痕@東大雪

 

おもしろい熊の痕跡としては下のようなモノもありました。

 

カーブミラーについた熊の足跡
カーブミラーについた熊の足跡

熊はとても頭がいいので、ふと見えたカーブミラーに写った自分の姿が気になったんでしょうねぇ。想像するとなんだか微笑ましいものですが…。山に入る時はやっぱり油断はできません。皆さんもご注意を。

 

紅く燃ゆるハウチワカエデ
紅く燃ゆるハウチワカエデ