2023/05/02~04 トムラウシ山&雌阿寒岳 ゴールデンウィーク山行

今シーズンのゴールデンウィーク山行は、群馬からお越しのH様お二人と残雪のトムラウシ、さらにH様のご両親もご一緒しての雌阿寒岳をご案内させていただきました。入山前の天気予報は前の週くらいまであまり良くなく心配もありましたが、蓋をあけてみると全日上々の天気で計画を完遂することができました。

さて、まずはトムラウシ。今シーズンは東大雪荘の周りや林道にすでに雪はありませんでしたが、林道の終点だけに除雪のこんもりが溶け残っており、短縮登山口までは車で入れませんでした。近年の少雪ではこの時期に冬尾根など登れるわけもなく、夏道の温泉ルートからスタートします。とはいえ、完全に雪がないのはco900くらいまでで、以降は雪上での登高。ゴールデンウィークのトムラウシはまだ入山者も少なく、トレースもまばら。雪が出てくると夏道はどこか判別はできませんので、地図を見ながら読図で進んで行く必要があります。トムラウシの温泉ルートは地形がややはっきりしない部分もあり、割とちゃんとした読図が要求されます。

残雪の樹林帯をスノーシューでえっちらおっちら登高していき、短縮登山口の合流点も過ぎ、程なく進むとカムイ天上に出ます。ここあたりから一気に視界は開け、トムラウシのピーク方面、ニペソツ、石狩岳などの東大雪の山々、十勝連邦、夕張・芦別の山々などが見渡せるようになります。さらに進んでいくと、山腹斜面をトラバースしながらゆっくりと高度を下げ、コマドリ沢の出合いに到達します。この時期のトムラウシは少雪でほぼ全域わたって雪崩のリスクは低いと言えるでしょうが、唯一この山腹のトラバースとコマドリ沢の出合い周辺は雪面温度が上がるタイミングでは気をつけたい場所ですね。

コマドリ沢から前トム平までは、 夏にはナキウサギがたくさん鳴いているロックガーデン脇ののっぺりとした沢型を登行。汗をかきかき少しづつ高度を上げていきます。 前トム平 へのエッジを乗り越えると段々と風が出てきました。前トム平からはいよいよトムラウシのピークがどーんと迫ってきます。トムラウシの公園を経て南沼のテントサイトへ上がると、やっぱり風が少しあります。天候が安定していたので、この日の中にピークアタックへ向かうことに。

キツネなどにやられないようにザックの中から食料などを抜いて、テント泊装備は岩の上にデポ。アタック装備で頂上を目指します。アイゼンピッケルで30分ほど頑張ると、景色のいいトムラウシの頂上へ到着しました。ここでお客様と猫耳をつけて記念撮影。トムラウシの双耳峰ピークが猫のように見えたからとのこと。しかし、ピークはやはり風が強かったです。こんなにも天気が良いのに、やっぱり大雪は甘くない!そんなこんなで、ザックを回収して16時頃にはトムラウシ公園の上のちょっとした、岩陰のピットにテントを張り泊まることに。この時点でなかなか風がありテントを張るのも一苦労でした。気温は低く無いのが幸いでしたが、夜半には風がテントを叩く音で何度も目が醒めたものです。

翌朝は風もあることから、4時起き6時発で早めにテントを撤収して下山することに。朝食を食した後、締まった雪面で転滑落しないようアイゼンピッケルで慎重に下りました。下山時はコマドリ沢の沢型の長い下りが緊張するポイントですが、ゆっくりと下れば問題とはなりません。そんなこんなで昼ぐらいには下山。東大雪荘の日帰り入浴は13時からなので、くったり温泉でお風呂へ入り、帯広で豚丼と芽室の道の駅でソフトクリームを食し阿寒へ移動。

翌日5/4はH様のご両親と合流して、雌阿寒岳へ登りました。雌阿寒岳もまたこの既設としては非常に少雪で、野中温泉ルートでは殆ど雪がありませんでした。この日もまた天気はまずまずで、開けた景色を存分にご覧頂くことが出来ました。オンネトールートの下りでは上部の一部と、樹林内の日陰の部分で雪が出現。氷化している部分もあったため、念のため軽アイゼンやチェーンスパイクを使用。こういう状況ではチェーンスパイクがあると役立ちますね。トムラウシ・雌阿寒岳と、天候にも恵まれ素晴らしい計画が出来て何よりでした。H様この度はありがとうございました。またぜひ遊びに来てくださいね!

2023年、幌尻岳新冠ルート開通のお知らせ

昨年の大雨で甚大な被害が出た幌尻岳・新冠ルートですが、6月に林道が開放され通行できるようになるそうです。GWには利用申請の許可が下りるようになるとのこと。昨年の大雨の被害はすごかったですからねぇ。今年中の復旧は無理なのではないかと思いましたが、意外と早い復活でしたね。いやぁすごいことです。新冠町の林道工事屋さんは林道復旧作業が馴れてらっしゃる!

新冠林道の開放決定 | 新冠ポロシリ山岳会 (poroshiri.info)

2023年、登山ガイドプラン最新ご予約状況

みなさまこんにちは。登山ガイドの西田です。さてGW直前ですが、2023年シーズンの最新のご予約状況をお知らせいたします。夏前に向けて、プランニングやご宿泊予約、休みの日程など…色々とご準備をされている方も多いでしょうからね。まぁ、当の私自身がそうなのですが。例年、年明け前から5月のシーズンインまでは夏山の計画策定がラッシュになります。特に私の場合、最盛期は縦走や日帰りの継続といった大きな山行のご予約を頂くことが多いので、登山プランの出足は早い傾向があるように思います。

さて、GW前の現在、7~8月はいいところ埋まっておりまして、5~6、9月がまだ空きがございます。下記のカレンダーの点の付いている日はご予約済になります。現在進行形で策定中ものは、5~6月あたりに委託業務による数日フィックスのものが一件、9月上旬に縦走プランのお問い合わせをいただいているものが一件あります。

ちなみに、今年お受けしている登山のプランは、かなり種類豊富で北海道一円駆け巡る形です。いつもの雌阿寒岳、雄阿寒岳、斜里岳、羅臼岳はもちろん、摩周岳、十勝岳、夕張岳、知床連山、幌尻岳、大雪山縦走、トムラウシ、カムイエクウチカウシ山、ペテガリ岳、果ては利尻・礼文などなど。当方では旅行代理店のツアーはお受けしておりませんので、プランは全て個人のお客様のプライベートプランになっています。いやぁ、たくさんのお声がけを頂いてありがたいばかりです!とは言え、 5~6、9月はまだまだ余裕がございますので、何卒よろしくお願い致します。

2023/04/25 久しぶりの阿寒の森トレッキング

みなさまこんにちは。ガイドの西田です。昨日は久々に阿寒湖畔にて阿寒の森トレッキングを催行いたしました。ご依頼をいただきましたのは関西からお越しのS様。北海道へお越しの旅の途中で、阿寒の自然が気に入ってくれてお声がけいただけたご様子。当日は天気もよく、早やかな春の雰囲気とともに、のんびりとご案内させていただきました。

阿寒川
阿寒川

すこし風が強めではありましたが、やはり今年の暖かさのせいで湖面の氷も全て溶け、数週間は季節の訪れが早いように感じました。ルート中にはヒメイチゲやスミレ数種、なんとエゾオオサクラソウもすでに開花しておりました。雪解けの早さからでしょうが、例年より2~3習慣は季節が早いようですね。気の早い季節の訪れに、森の木々や鳥たちもいそいそと春の身支度を整えているといった森の様子でしたね。 気持ちの良い一日でした~。S様この先の道中もお気をつけて!また遊びに来てくださいね。

阿寒の森 スミレ
阿寒の森 スミレ

Hokkaido Love割、2023/7/14まで延長

ガイドの西田です。表題通りHokkaido Love割が2023/07/14まで延長になりました。ただし、GW期間(2023/04/29~05/07)は対象外。

割引は旅行商品の価額より20%(上限3000円)、クーポンが平日2000円、休日は1000円支給となります。ご利用にはコロナワクチン3回以上接種証明書、及び身分証明証をご提示の上、同意書にご署名の上お手続きいただく必要がございます。クーポンのご利用にはStay Naviへのアカウント登録が必要になります。

期間中、当方の日帰りの催行プランはすべてが割引の対象となります。ご利用のお客様は、ご予約の際に「Hokkaido Love割を利用」の旨をお伝え下さい。(外部予約サイトからのご予約は対象外)

奮ってのご利用をお待ちしております。よろしくお願いします。

https://hokkaidolove-wari.jp

STAYNAVI 宿泊TOP

2023/03/01~03/11 乗鞍岳、木曽駒ヶ岳、常念岳、聖岳、八ヶ岳、トレーニング自主登山

みなさまこんにちは、ガイドの西田です。山トレ&本州山域の経験値を上げようということで、私とし ては珍しく本州にて表題のようなハシゴ山行をしてまいりました。 新潟へフェリーで入って南下、北アルプスの山々を見ながら登山をしつつ、食べ物や名産、温泉など、 その土地々々の風物を経験するのはまことに楽しかったです。 また、山行としては、北海道の山との違いや、装備や行動様式の差異なども感じました。自分なりに 色々な経験ができて良かったです。

乗鞍岳ピーク方面

03/01 乗鞍岳

まずは足慣らしに日帰で乗鞍に登りました。スキー場のリフトを2本乗り継ぎ、上部を登って行きます。ただ、上のカモシカリフト駅を降りると、すでに2000m以上の標高で登山当日はなかなか風が強く、思いの外難儀しました。手軽に登れてしまう3000m峰ですが、地図読みやホワイトアウトナビゲーション、雪崩や強風、低温などといった、3000m峰なりの当たり前のリスク管理が要求されるので、ナメてかかると危険な山です。リフトは下山時には使えないので、なんやかんや往復すると夕方まではかかります。今回私はスノーシューだけで登りましたが、スキーがあったほうがずっと有利な山ですね。

03/03 木曽駒ヶ岳

木曽駒は嫁さんと登ったのですが、この山もロープウェイで千畳敷カール(2629m)まで上がれるので、お手軽な登山としては最高の山です。アクセスが良いので人で混雑していました。菅の台バスセンターまでマイカーで行くと何かと混雑しているので、私達は駒ヶ根の駅前からバスに乗って、ロープウェイの乗り口であるしらび平まで行きました。千畳敷カールからの眺めは絶景で、この景色をみながらのんびりするだけでも行く価値はあります。この日は天気が良くて終始汗をかきながらの登高となりました。頂上からは常念を始めとする北アルプスの山々、乗鞍、御岳、甲斐駒や北岳、富士山など周りの山も全て見渡せて素晴らしかったです。

03/04~05 常念岳

この山は当初この旅程には入っていなかった山でしたが、現地で登山口が近いことがわかったのと、期間中の天気状況がちょうど良かったことから、登るに至りました。積雪期の常念は、「ほりでーゆ四季の郷」や「鳥川発電所」のある東尾根の東端から登ります。積雪状況は03/02のレスト日に偵察をしていて、行けそうなことはわかっていました。下降時にわかりましたが、この東尾根の下部はほぼ夏道のようにしっかりしたトレースが付いていて、雪がなくても登れるのでした。03/04に朝9時頃のんびり泊装で出発し、ほぼ夏道の下部をやりすごすとco1500くらいで雪が出てきます。以降は延々とスノーシューで樹林帯の尾根を登高します。樹林が切れるco2200あたりにテン場があり、みんなそこでテントを張っていました。このテン場はもう森林限界の上なので、天気が悪いときはもっと下でテン場ってももいいかもしれませんね。で、翌日無風快晴のなか、アタックをして降りてきました。co2200以上の稜線は見晴らしが良く、天気が良ければ最高の景色が望めます。お隣に見える槍ヶ岳や穂高の山々は本当に素晴らしかったです。この山は危険箇所も特になく、天気が良ければ初心者の一泊二日の雪山入門には良いと思います。しっかりした冬山装備、アイゼンワーク、テント泊の技術、荷物を背負う体力などをトレーニングするにはいい山だと思います。

03/07~08 聖岳

この旅のハイライト・核心の山がこの聖岳でした。まず、林道が途中で崩れており、全行程でのルートが長く、また登高する尾根も急峻で全装で登るのはなかなか大変でした。ルートは夏道を率直にたどる形です。アプローチ時点で山の上部を伺うと雪の少なそうなことが見て取れていました。スタートは朝4:00柴沢ゲートよりヘッドランプをつけて歩き出し。便ヶ島、西沢渡を経て尾根取り付きが7:00頃。この林道は落石状況が今まで見た林道の中でもっとも酷く、戦場のように道やガードレールがズタズタになっていました。

西沢渡を渡渉すると、ようやくここから尾根の登高が始まります。この尾根がまた急峻で、一気に汗が吹き出します。登ることco1700あたりでやっと雪が出てきました。本州の山の下部はコリコリのアイスバーンになることが多いので、チェーンアイゼンがあると重宝するでしょうね。僕はもっていなかったので、スノーシューに履き替えてひたすら登りました。薊畑分岐(co2400あたり)についたのはもう昼で、ここに全装ザックはデポ、アタック装備に切り替えてアイゼンピッケルで聖岳ピークを目指します。

稜線に出ると、気温が高く雪がかなり腐っていて雪が団子になって大変でした。見晴らしの良い尾根をジリジリ休みながら登りましたが、やっぱり2000メートル台後半ともなると、幾分息が切れるようです。なかなかに急峻な頂上直下をやり過ごしピーク着が14:30。隣の仙丈ヶ岳がきれいに見えます。ここから、二時間ほどで聖平避難小屋に到着。疲れていたので、避難小屋はありがたかったです。

翌日上河内岳に登るか迷いましたが、雪がグサグサでナイフリッジが大変そうだったので、やめにしてゆっくり朝起きて下山しました。

03/11 八ヶ岳

八ヶ岳は今回の山行の中では唯一夏に登っている山です。当初、行者小屋テン場に一泊してから赤岳・阿弥陀岳に登ろうと考えていましたが、週末で人が多そうだったのと、聖岳で全装の登高に疲れていたので、ワンデイ軽量装備でスピードアタックすることにしました。出発は朝3:30、八ヶ岳山荘よりまずは林道歩き。一時間ちょっとで美濃戸山荘へ。ここから登山道が始まります。前日の雨が氷化しており、登山道は全域ウォーターアイス状態になってました。ルートが南沢に沿っているためかこの八ヶ岳は今回の山行ツアー中最も寒く、普通の春山装備だと少し肌寒かったです。co2000くらいでようやくアイスバーンが雪に切り替わりました。6:30行者小屋到着。ここから文三郎尾根を登高。森林限界以上からは横岳、蓼科、甲斐駒、北岳、仙丈などが望まれます。赤岳ピーク8:00着。更に中岳を経て阿弥陀岳にも登りました。

阿弥陀岳はなかなか急峻で、リッジ通しのルートは結構な高度感があるように見えましたが、登ってみるとうまく弱点が繋がれて合理的なルートになっていました。ただ、怖かったのは、アイゼンが雪団子になることで、これには非常に気を使いました。ピークにはアイゼンを履かずに御小屋尾根から登ってきた人もいてびっくり。阿弥陀岳11時着。ここから3時間ほどで下山。残念ながら八ヶ岳山荘にあるその場で焙煎してくれるオリジナルのコーヒー豆は買えず、山を降りて下諏訪の八木温泉に入って帰りました。

本州の山を登ってみて全体的に感じたのは、やはり北海道よりは圧倒的に山中に人が多いということです。気軽に山に親しめる環境というのは本当に恵まれていると思います。山麓の温泉やグルメ、観光地めぐりなど楽しみも非常に豊富。ただし、そのような手軽さ身近さもありながら、登山者の中には技術的に不安な感じを受ける方も少なくありませんでした。残念ながら、実際事故事例も少なくないので、しっかりとした技術・装備などを身に着けて、安全な登山を心がけていただきたいものです。

2/18~3/22まで、遠征&研修で不在のお知らせ。

おはようございます。ガイドの西田です。表題のとおり2/18〜3/22まで知床や本州の山、カヤックの研修などでやや長めに不在になります。この間ガイドのご案内は出来ず、連絡のやり取りも遅れがちになりますが、生きてはいると思います。特に山行策定の途中のお客様にはご不便をおかけして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

2023/02/07~08 アイスクライミング in 知床 ”ケイズギフト”

みなさまこんばんは、先日、知床五湖エリアの氷爆、”ケイズギフト”に登ってまいりました。パートナーはいつも仕事などで一緒に行動をともにすることも多いI氏。日程中は流氷がちょうど着岸しており、なかなか絶景のなかでの登攀となりました。久々の泊まり山行が楽しゅうございましたが、ギアなどの選別も見なおす良い機会となりました。

ケイズギフト・下部
ケイズギフト・下部

02/07 10:00岩尾別ゲート〜13:00ケイズギフト上部テン場

初日はのんびりウトロから自然センターへ向かい、財団の職員さんに声をかけてから岩尾別ゲートへ向かう。ここで車をデポし、支度を整えたら泊装備を背負って五湖へ。冬の五湖からの知床連山が美しい。五湖を離れ、スノーシューで樹林を進むと程なくしてケイズギフトの上部へ到着。岩尾別ゲートからは3時間ほど。風の避けられそうな樹林内にテントを張る。眼下には流氷の海。断崖の上のテン場ながら、浜風の心配はそれほどなさそう。テントを設営し水を作ったあと、ジェットボイルの調子が悪くなる。ヘッドの内部にスラッジでも溜まったのか、ガスの出が悪い。

ケイズギフト・全景
ケイズギフト・全景

02/08 5:00起床〜7:30テン場出発〜8:00懸垂下降〜9:00ケイズギフト登攀開始〜13:00登攀終了〜13:30テント撤収〜16:30

早朝の知床は思いの外気温が低かった。しかし、この日も天候は風もなく穏やか。不調のジェットボイルをなんとかだましだまし使って朝食を摂る。厳冬の知床で火がなかったら相当モチベーションは下がっていただろう。太陽が十分に登って幾分暖かく感じられてきたところで、アタック装備にて出発。今回は先に控える知床アイスクライミング遠征のギアテストも兼ねているので、身につけている物は全て超軽量ギア。特にアイゼン(ペツル・ダート)は、アルミ製のヒールパーツを換装して紐で接続するタイプのものを使ってみることに。スクリューも現行品で最軽量のアルミとクロモリハイブリッドのブルーアイスのもの。ケイズギフト上部の落口に続く沢型を下降し、最後の立木にやってきた。ここより3Pの懸垂下降。下の2PはVスレッドによる下降となる。I氏の下降やVスレッド作成はさすが手際が良い。下降しつつも足下に巨大な氷の衝立を目の当たりにし、その迫力に息を飲む。今まで見てきた大きな氷爆とは違ったスケール感であり、縦も横も相当にデカい。

ケイズギフト・核心の2P目
ケイズギフト・核心の2P目

用意を整えクライミングを開始。今回はツルベで行くことに。ど真ん中は水が滴っていたので、やや右寄りの氷の状態の良さそうなラインを登ることに。1P目(西田)は裾の緩斜面でほぼ50m一杯に伸ばす、本番は2P目(I氏)。立ってはいるが幾分ボコボコしている。が、なにせ長く、中間部の殆どをいっぱいまで伸ばす。3P(西田)はややなだらかになった上部へと繋ぐも、懸垂の立木まであと一歩のところで届かず。4P目(I氏)でようやく落口へと達した。
氷の状態は、海岸の氷としては硬かったが層雲峡よりはだいぶ良かったと思われた。度胸と体力が試される滝。ロケーション、クライミングの内容とも北海道随一のルートであると思う。いやぁ、最高のアイスクライミングでした。パートナーに感謝!

ケイズギフト・3P目
ケイズギフト・3P目

2023/01/20~21 三段山&上富良野岳登山ガイドプラン

皆様こんばんは。いや〜最近とみに寒さが増してきましたねぇ。今日の阿寒湖はマイナス17℃…まぁ昔の阿寒よりはずっと暖かでしょうか…。私の幼少時代といえば、まだ阿寒もそれなりに雪は多く、冬は連日マイナス25℃とかでした。そのくらい気温が下がると家の鉄骨が収縮してガンガンと音を立てていたものです。

さて表題の件、01/20~21の三段山と上富良野岳の登山のお話です。この2日間も寒かった〜!朝の凌雲閣周辺の気温は両日ともマイナス18℃ほど。このくらいの気温だと、手足はもちろん顔の露出部も長く風に晒していると簡単に凍傷になってしまいますね。今回のお客様は常連のH様ご夫婦。大変強いお二人で、この方たちであればこそのスペシャルな奇跡を含んだ素晴らしい山行でした。Hokkaido Love割でのご利用だったので、お得にもなりましたね。

凌雲閣
凌雲閣

20日の天気予報は当初曇のち雪でしたが、当日になってみるとすっきりと晴れており、しかも風もありませんでした。ラッキーとばかりにスノーシューで崖尾根末端から三段山を目指します。積雪深は所によって50〜60センチほどでしょうか。あまり多いとは言えませんが、それでも吹き溜まりではラッセルを強いられるくらいではありました。風のないことが幸いして極低温ながらそれほど苦労もなくピーク着。お客様の身のこなし、装備の確かさが頼もしく感じました。屏風岩手前から安政火口に向けて、アイゼンワークのトレーニングも兼ねて下降を考えていましたが、視界が悪く、雪の状況が不確かなためこの日はピストンにて下山をし終了。

三段山
三段山

翌21日。この日の事前の天気予報はかなり悪く、雪と強風が予想されましたが、朝起きてみるとなんと晴天!一時は事前催行中止も考えましたが、やっぱり当日の現地判断は大切ですね〜。奇跡ですよ奇跡!まぁこのパターンもあるので、よほどのことがないと天気予報だけでの催行判断は難しいのです。そしてまるで海外の高所のような晴天のカミホロや富良野岳、バケモノ・ヤツデを眺めながら、たくさん写真もとりました。安政火口でスノーシューデポ&EP切り替えで、下降尾根を登高いたします。う〜むお客様のお二人は、本番のアイゼン歩行もお上手で不安は無いですね。キリキリと極低温の雪面にきしむアイゼンの音が心地よく響きます。ただしこの辺で西風により稜線に巻き上がる雪煙が気になりだしました。

上ホロカメットク山2
上ホロカメットク山2

視界がやや悪くなってきたので、デポ旗を打ちながら尾根を歩くこと小一時間。ヤツデの頭をやり過ごし、上富良野岳直下50mほどでいよいよ風が強くなってきました。おなじみのエビの尻尾だらけの看板前でエッジを乗り越えると超爆風。そそくさと撤退を決め踵を返し下山を始めますが、ここからが正念場。顔の露出部に当たる冷風と雪粒の痛いこと痛いこと…。しかしまぁ、向かい風の尾根の下降はここではいつものこと。

下降尾根の下降では、一応ロープを出しましたがこのお二人の足取りでは必要無かったでしょうね。今回は上ホロカメットクまでは到達できませんでしたが、あれだけ低温のシビアコンディションの中普通に歩けたのですから本当に素晴らしい!H様、この度はありがとうございました。次はどんな冒険の旅が待っているのでしょうねぇ。卵の味噌漬け美味しゅうございました!

全国旅行支援・Hokkaido Love割対応のお知らせ

みなさまこんにちは。ガイドの西田です。2023/01/10~03/31まで延長となりました全国旅行支援・Hokkaido Love割ですが、当方でもようやく実態を把握し自信をもって利用可能ですとお伝えできる状態になりました。なにしろ今回の旅行支援、以前のものとは違っていまして非常に仕組みがややこしく使い方を理解するのに少々時間がかかるのです!はっきり言ってサポートセンターもず〜っと問い合わせ多数でパンク状態です。なんでこんなややこしい仕組みにしたのでしょうねぇ…。

まずこの度のHokkaido Love割ですが、以前のものと大きく違っているのは以下の点です。

  • ワクチン3回以上接種
  • 既存予約は非対象
  • 割引額 20%か上限3000円
  • クーポン 平日2000円、休日(土日祝)1000円
  • 適用に事前申請が必要(な場合がある)
  • クーポンの仕様が違う

上記の項目で、概ね問題となるのは事前申請とクーポンの仕様です。ですが、事前申請に関してはアクティビティの予約では、代行申請(事業者がお客様の代わりとなって申請する)となるため問題にはなりません。

ややこしく感じるのはクーポンで、これは以前の「QRコード付きの金券」ではなく「電子クーポン」のみとなっています。クーポンは利用当日にQRコード付きのA4の紙のコピーが発行となるのですが、これを取り扱いのお店等に持って行ってもほとんどの場合そのまま使えません。お店側が対応のQRコードリーダーを持っている必要があるからです。なんで事前に、STAY NAVIというサイトにアクセスしてアカウントを作成し、A4の紙のQRコードをスマホに読み込んでおくと話がスムーズです。

このようにすれば今まで北海道応援クーポンを取り扱っている事業者やコンビニなど多くの店舗で使えるようになります。ちなみに、私は自分が利用者となって実際使ってみてようやく仕組みを把握出来ました。

アクティビティのご予約で予算を使い切ることは残念ながら絶対にないので、皆様奮ってご利用のほどお願いいたします。ご予約の際にわからないことがありましたら、お気軽にご連絡いただければと思います。

https://hokkaidolove-wari.jp

https://staynavi.direct