2023/08/28~30幌尻岳額平川ルート(予備日31日)

みなさまこんにちは。登山ガイドの西田です。先日は本州からフェリーにておこしのY様パーティを幌尻岳へご案内させていただきました。この数年の幌尻岳額平川ルートはコロナ&林道の通行止めなどと数年来もの足踏みを余儀なくされておりましたので、このほどの山行はまさに満を持してのものとなりました。

さて、いつものとおり前泊は「豊糠山荘」にて。まずは山行の完遂を祈っての乾杯となります。もちろん夕食のメニューはジンギスカン。なかなかどうしてここのジンカンも美味なのでして。ここ豊糠山荘には北海道には珍しく客室にクーラーが部屋についているのです。う〜ん快適。

そんなこんなで8月28日、天候は晴れ時々曇と上々。いつものとおりバスは8時発の2番に乗りまして、9時に2番ゲート着。林道をてくてく歩いて北電取水施設着が11時頃。渡渉ポイントから四の沢出会いが12:30。幌尻山荘着が13:30頃。この日は我々を含めて、宿泊客は20人ほど。えーと…あれ?予約時の大混雑・即完売状況はなんだったのでしょうか。

翌29日はアタック日。別のガイドパーティが10人ほど。4時起き5時発。命の泉7時着。カールバンド7時着。カールの中にゆったりとヒグマが朝ごはんを探して動いているのが見えました。頂上着が9時。あいにくガスが上がってきたのでトッタベツラウンドはパス。のんびり写真をとって、小屋帰着が13:30。この日は午後発のパーティが居て19時オーバーの小屋帰着となっていました。多分ガイドパーティですが、こういう無茶な時間割はどうかと思いますね。この日はトッタベツラウンドはやめて、パワーが幾分温存されたので、翌朝の下山は1便にすることに。機動力が十分なパーティであれば、5時発で1便に乗ることが出来ます。

今回は額平川の水も少なく天候も安定していて、そつなく登頂安着が果たせました。Y様、この度はありがとうございました。またよろしくお願い致します!

2023/08/10~12(予備日13日)幌尻岳新冠ルート登山ガイド

皆様こんばんは。登山ガイドの西田です。先日は新冠ルートより幌尻岳へ登って参りました。今回で幌尻岳は今シーズン3回目。ご一緒させていただくのは、御歳77の男性K様でいらっしゃいます。このK様、コロナ禍&林道通行止めなどにより幌尻岳の挑戦は3年越しとなり、額平川ルート・幌尻山荘の予約争奪戦に敗れ、新冠ルートへの転戦となったのでした。因みに、もし額平川ルートで予約が取れていたら、先の大雨による増水によりどうなっていたかはわかりません。これも運と言えるでしょうねぇ。

さて、いつもどおり前泊は「ふかふか亭」。美味しいご飯と快適な一夜を過ごした我々は一路岩清水林道をイドンナップ山荘へと向かいます。天候は曇。昨年の大雨の被害は甚大でしたが、さすが日高南部森林管理署さんと新冠の工事業者さんですね。あれだけ酷いズタズタだった林道も今年はすっかり元通りに。3時間ほどのドライブの後イドンナップ山荘駐車場へ車をデポ。いつもどおりゲートの隙間をくぐって幌尻林道へ。

長い長い林道をヒグマ避けの声を出しながら、いこい橋〜大理石沢〜雷沢〜原石沢〜奥新冠ダムと歩みを進めます。今年はアブはそれほど多くないようですね。額平川ルートほどヒグマの痕跡は多くは無かったです。とはいえ糞は3箇所ほどありましたが。この林道は当然ながら行きはほぼじんわりとした登りなので、初日の重いザックを担いだ身にはこたえます。そんなこんなで6時間ほどの林道歩きで新冠幌尻山荘へ。登山者は小屋に10人ほど。沢での行水が最高に気持ちいい。

翌朝は4時起き朝食の後、5時出発。天候は晴れ時々曇り。昨年の大雨の影響は登山道にも及んでおり、下部の沢沿いの部分は流されて斜面のヤブを突っ切ったルートが新設されていました。チシマザサ生い茂る急峻な尾根を登り、お花畑に出るとこのあたりも登山道が流されている場所がチラホラと。咲いていた花はミヤマアキノキリンソウ、ミヤマアズマギク、ウサギギク、チシマフウロ、エゾツツジ、エゾシオガマ、サマニヨモギ、イワギキョウ、イワブクロ、アキカラマツ、ホソバトリカブト、ウスユキトウヒレン、ハイオトギリ、ミヤマリンドウ、エゾオヤマリンドウなどなど。もう花が秋のものになりつつありますね。そんなこんなで11時過ぎに幌尻岳頂上着。視界はまずまず。時間はかかりましたが、無事に登頂することが出来て何よりでした。

K様この度はありがとうございました。また北海道へ遊びに来てくださいね!

2023/07/24~27 幌尻岳額平川ルート登山ガイド

皆様こんにちは。北海道の登山トレッキングガイドの西田です。さぁ今回は皆様お待ちかねの幌尻岳の記事です。昨年は8月の大雨での通行止めによる中止となってしまっていたため、この度は非常に久しぶりの幌尻岳額平川ルートのガイディングとなりました。今回ご案内させていただくのは関西からお越しのS様御一行4名様。お客様は12月1日の予約争奪戦をクリアして随分と前から意気込んで計画を組み立ててくださっていたのでした。

まずは7/24(移動日)は、お客様と千歳空港にて合流をし富川のマックスバリュで行動食の準備をし豊糠山荘へ。翌7/25、天候は曇り時々雨(0.5~1mm程度)と微妙ながら、朝は降っておらず出発することに。シャトルバスの2便(8:00)にゆられつつ一時間ほどで第2ゲートバス停(8:45)へ。身支度をして林道を歩き北電取水施設へ(11:30)、ヘルメット着用、渡渉用の靴に履き替えて、最初の渡渉点より額平川へ突入(12:00)、渡渉点の水位は概ね膝下〜太もも程度でした。最初の渡渉で渡るのに苦労するようなら危険増水水位なので諦めて引き返しましょう。今回のお客様はワークマンのネオプレン靴で渡渉していましたが概ね問題はなかったようです。ただし、当然沢専用の靴ではないので石の上では多少滑ります。解決策としては古い靴下をネオプレン靴の外に履かせると大分良くなるようです。歩きに自信がある人はこれでも大丈夫ですね。お金に余裕がある人はフェルト靴を。そんなこんなで幌尻山荘着が14:00。

幌尻山荘の宿泊者数は全部で30名程度(満員時50名)。予約時のパンク状態は旅行代理店の占有が原因なのでしょうか。キャンセルはやはり多いそうで東大雪荘などと一緒の状態ですね。バイオトイレが治っているようで使えるようになっていました。トイレ使用協力金は一日1000円(携帯トイレ一個付き)、携帯トイレブースは無料、毛布、シュラフ、上水は500円です。バイオトイレは朝5時くらいから7:30(消灯時)まで、ザックは小屋の下の倉庫へ、ザックや沢シューズなど濡れ物は基本的に小屋内へは持ち込まないように。

7/25アタック日、夜半に局所的な大雨。3:30くらいにはみんなごそごそやりだし始まるので外の様子を見に行くと、まだ雨模様&沢の増水少々。どうやらこの日は短期的にザッと降り出す不安定な天気。出発を遅らせ雨をやり過ごすことに。6:00発、命の水8:00着。山腹斜面の急登が身体にこたえます。9:00カールバンド到達。どこもかしこもヒグマの掘り返しあとだらけ。圏谷のお花畑が素晴らしい。ガスの間から北カール、戸蔦別岳のルートが覗いたり消えたり。10:20幌尻岳着。気温14℃くらい、風は5〜6メートル程度。なかなか寒く残念ながら視界もそれほどない。戸蔦別岳ラウンドは諦め、記念写真を撮って休憩をしピストンだけで下山することに。花は、ミヤマアズマギク、ウスユキトウヒレン、ナガバキタアザミ、ウサギギク、ハクサンイチゲ、ハイオトギリ、チシマツガザクラ、リンネソウ、イワヒゲ、イワブクロ、イワギキョウ、エゾシオガマ、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、エゾツツジ、チシマフウロ、トカチフウロ、ムカゴトラノオ、アオノツガザクラ、ミヤマダイコンソウなどが咲いていました。写真を撮ったりナキウサギに遭遇したりしながら、14:20幌尻山荘着。

7/26、朝3:30起床(目が覚めてしまう)、山荘5:30出発、北電取水施設7:30、第2ゲート10:20、シャトルバス12:00~豊糠山荘着12:45、帰路の林道は熊糞が10個以上あり(行きでは無かったもの)、なおかつ食痕も非常に多くかなり緊張をしつつ下山しました。林道で見られる花はオニシモツケ、サラシナショウマ、マツヨイグサ、ハンゴンソウ、アカツメクサ、ウツボグサ、ノリウツギ、キツリフネ、ツルアジサイ、ムシトリナデシコなど。

S様、T様、T様、K様、今回はうまくいきましたね!ジャンケンポンにはまた次の機会に。また北海道へ遊びに来てくださいね!

2023/06/24~26 幌尻岳チロロルートテント泊縦走登山ガイド

皆様こんにちは。先日は今回がお初のお客様E様と幌尻岳チロロルートをテント泊縦走として行ってまいりました。6月下旬のシーズンの幌尻は雪渓の心配は少しありましたが、結果として雪解けの早い昨今としては花のベストシーズンでした。この日はやや雲が多いかなとも思いましたが、すっかり治ったチロロ林道の奥の駐車場より泊装備を背負ってスタート。久々の北電取水口や二岐沢をやり過ごし、日高名物の急な山腹斜面をジリジリと登ります。トッタの泉で6リットルの水を担ぎ、ヌカビラ山、北トッタ別岳へ。テン場は我々二人のみ。

夕方から雲が下がってテン場は雲海の上へ。最高の眺めのなか夕食を摂って就寝。めちゃくちゃぐっすりと眠れました。翌朝は4時おき5時半発。天候は最高!ハイマツトンネルを潜りながら、トッタ別の急登や7つ沼カールバンドを経て幌尻岳頂上へ。幌尻今シーズン一回戦は上々の天気の中登頂を果たすことができました。やりぃ!7つ沼カールにはヒグマが悠然と朝食を採っていたり、雲海や、星空、谷から吹いてくる涼風、テントを叩く風の音、全てが自然の醍醐味であり私達の五感を覚醒させます。幌尻岳ってすごいなぁ、日高山脈ってすごいなぁとお客様と帰路の車の中でもずっとお話していました。E様今回はやりましたね!トムラウシでもよろしくお願いいたします。