2023/05/02~04 トムラウシ山&雌阿寒岳 ゴールデンウィーク山行

今シーズンのゴールデンウィーク山行は、群馬からお越しのH様お二人と残雪のトムラウシ、さらにH様のご両親もご一緒しての雌阿寒岳をご案内させていただきました。入山前の天気予報は前の週くらいまであまり良くなく心配もありましたが、蓋をあけてみると全日上々の天気で計画を完遂することができました。

さて、まずはトムラウシ。今シーズンは東大雪荘の周りや林道にすでに雪はありませんでしたが、林道の終点だけに除雪のこんもりが溶け残っており、短縮登山口までは車で入れませんでした。近年の少雪ではこの時期に冬尾根など登れるわけもなく、夏道の温泉ルートからスタートします。とはいえ、完全に雪がないのはco900くらいまでで、以降は雪上での登高。ゴールデンウィークのトムラウシはまだ入山者も少なく、トレースもまばら。雪が出てくると夏道はどこか判別はできませんので、地図を見ながら読図で進んで行く必要があります。トムラウシの温泉ルートは地形がややはっきりしない部分もあり、割とちゃんとした読図が要求されます。

残雪の樹林帯をスノーシューでえっちらおっちら登高していき、短縮登山口の合流点も過ぎ、程なく進むとカムイ天上に出ます。ここあたりから一気に視界は開け、トムラウシのピーク方面、ニペソツ、石狩岳などの東大雪の山々、十勝連邦、夕張・芦別の山々などが見渡せるようになります。さらに進んでいくと、山腹斜面をトラバースしながらゆっくりと高度を下げ、コマドリ沢の出合いに到達します。この時期のトムラウシは少雪でほぼ全域わたって雪崩のリスクは低いと言えるでしょうが、唯一この山腹のトラバースとコマドリ沢の出合い周辺は雪面温度が上がるタイミングでは気をつけたい場所ですね。

コマドリ沢から前トム平までは、 夏にはナキウサギがたくさん鳴いているロックガーデン脇ののっぺりとした沢型を登行。汗をかきかき少しづつ高度を上げていきます。 前トム平 へのエッジを乗り越えると段々と風が出てきました。前トム平からはいよいよトムラウシのピークがどーんと迫ってきます。トムラウシの公園を経て南沼のテントサイトへ上がると、やっぱり風が少しあります。天候が安定していたので、この日の中にピークアタックへ向かうことに。

キツネなどにやられないようにザックの中から食料などを抜いて、テント泊装備は岩の上にデポ。アタック装備で頂上を目指します。アイゼンピッケルで30分ほど頑張ると、景色のいいトムラウシの頂上へ到着しました。ここでお客様と猫耳をつけて記念撮影。トムラウシの双耳峰ピークが猫のように見えたからとのこと。しかし、ピークはやはり風が強かったです。こんなにも天気が良いのに、やっぱり大雪は甘くない!そんなこんなで、ザックを回収して16時頃にはトムラウシ公園の上のちょっとした、岩陰のピットにテントを張り泊まることに。この時点でなかなか風がありテントを張るのも一苦労でした。気温は低く無いのが幸いでしたが、夜半には風がテントを叩く音で何度も目が醒めたものです。

翌朝は風もあることから、4時起き6時発で早めにテントを撤収して下山することに。朝食を食した後、締まった雪面で転滑落しないようアイゼンピッケルで慎重に下りました。下山時はコマドリ沢の沢型の長い下りが緊張するポイントですが、ゆっくりと下れば問題とはなりません。そんなこんなで昼ぐらいには下山。東大雪荘の日帰り入浴は13時からなので、くったり温泉でお風呂へ入り、帯広で豚丼と芽室の道の駅でソフトクリームを食し阿寒へ移動。

翌日5/4はH様のご両親と合流して、雌阿寒岳へ登りました。雌阿寒岳もまたこの既設としては非常に少雪で、野中温泉ルートでは殆ど雪がありませんでした。この日もまた天気はまずまずで、開けた景色を存分にご覧頂くことが出来ました。オンネトールートの下りでは上部の一部と、樹林内の日陰の部分で雪が出現。氷化している部分もあったため、念のため軽アイゼンやチェーンスパイクを使用。こういう状況ではチェーンスパイクがあると役立ちますね。トムラウシ・雌阿寒岳と、天候にも恵まれ素晴らしい計画が出来て何よりでした。H様この度はありがとうございました。またぜひ遊びに来てくださいね!

2023/04/25 久しぶりの阿寒の森トレッキング

みなさまこんにちは。ガイドの西田です。昨日は久々に阿寒湖畔にて阿寒の森トレッキングを催行いたしました。ご依頼をいただきましたのは関西からお越しのS様。北海道へお越しの旅の途中で、阿寒の自然が気に入ってくれてお声がけいただけたご様子。当日は天気もよく、早やかな春の雰囲気とともに、のんびりとご案内させていただきました。

阿寒川
阿寒川

すこし風が強めではありましたが、やはり今年の暖かさのせいで湖面の氷も全て溶け、数週間は季節の訪れが早いように感じました。ルート中にはヒメイチゲやスミレ数種、なんとエゾオオサクラソウもすでに開花しておりました。雪解けの早さからでしょうが、例年より2~3習慣は季節が早いようですね。気の早い季節の訪れに、森の木々や鳥たちもいそいそと春の身支度を整えているといった森の様子でしたね。 気持ちの良い一日でした~。S様この先の道中もお気をつけて!また遊びに来てくださいね。

阿寒の森 スミレ
阿寒の森 スミレ

2/18~3/22まで、遠征&研修で不在のお知らせ。

おはようございます。ガイドの西田です。表題のとおり2/18〜3/22まで知床や本州の山、カヤックの研修などでやや長めに不在になります。この間ガイドのご案内は出来ず、連絡のやり取りも遅れがちになりますが、生きてはいると思います。特に山行策定の途中のお客様にはご不便をおかけして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

2022/08/01 雌阿寒岳登山ガイド

この日の天候は曇り、時々山が雲から顔を出してたまに景色が望めるといったところでした。とはいえ、この季節としては暑くもなく寒くもなく登りやすかったと言えるでしょう。雨がふらなかったのは幸いでしたね。今回のお客様は帯広からおこしのY様親子。とても仲の良い親子で、お二人の優しい雰囲気がとっても素敵でした。また機会がありましたら、ぜひ遊びに来てくださいね。ちなみに、この時のガイド料はどうみん割で大幅に安くなりました。アクティビティの料金でもどうみん割が使えるとは知らない方がほとんどですが、皆様もスキあらばどうみん割は使ったほうがいいです!

2022/07/30 斜里岳登山ガイド

この日は、お二人パーティとお一人のお客様のあいのりプランでの斜里岳登山ガイドプランの催行。朝からまずまずの天気で、標高を上げるにつれ青空が見えてまいります。旧道のダイナミックな景色を眺めつつ、ご同行のお三方は初めてのパーティとは思えないほどに馴染んだ感じで世間話に花を咲かせていらっしゃいました。頂上からは斜里の町家オホーツク、知床連山や阿寒の山々が見渡せました。K様、H様、気が向いたらまた北海道の山へ遊びに来てくださいね~。

2022/07/26 羅臼岳登山ガイド

この日は大変天気がよく、朝から久々の青空ということで張り切って羅臼岳登山を催行いたしました。ごいっしょさせていただいたのはリピーターのKご夫妻。今年の羅臼岳は去年ほどにはまだ暑くもなく登りやすかったですね。花はエゾカワラナデシコ、エゾイボタ、エゾヤマハギ、チングルマ、カラフトイチヤクソウ、リンネソウ、イワヒゲ、チシマノキンバイソウなどが咲いていました。K様、また気が向いたら遊びに来てくださいね~!

ギアレビュー・カスケードワイルド フォールディングテーブル

久々に友人が店長をやっている札幌ファクトリーの好日山荘をブラブラしていたら、大変いいギアを見つけたので紹介します。端的に申しますと、プラダンでできた重量60グラムの超軽量折り畳みテーブルです。こいつは耐熱性が163℃だそうで、熱いコッヘルを乗せても溶けることはありません。サイズはA4くらいで半分に畳めます。

カスケードワイルド02
折りたたんだ状態

折り紙みたいな構造なので、多少ぐらつきはしますが鍋やコップを乗せたくらいでは大丈夫です。テーブルになっている所がミソで、単なるブス板一枚より野外活動におけるティータイムが大幅に文化的になりますね。仕舞ったり組み立てたりも簡単で、手軽で軽くてなかなか良いですよ。値段は1700円ほどでした。

裏から見た状態

今までガイド時はアルミのフォールディングテーブルや、テント泊では昔ながらのべニアで出来たブス板を持ち歩いたりしてましたが、今後はこれでいってみようと思います。さらに軽量化を目指すとすれば、素のプラダン一枚でブス板の代わりにはなるでしょうね。

という、今回はおもしろギアの紹介でした。

2021/4/17 NHK BSプレミアム「体感!グレートネイチャー▽激写!“世界一”の御神渡り~北海道東部 氷の大地」出演

皆様、こんにちは。ガイドの西田です。2021/4/17 NHK BSプレミアムにて放映の「グレートネイチャー」に出演させていただきましたよ。結氷直後のオンネトーでのアイスバブル観察シーンを撮影していただきました。オンネトーや雌阿寒岳などはまさしく私が幼少のころから慣れ親しんできた故郷の自然ですので、こうした環境をNHKさんに取材していただき、また自分が紹介できたことをとても光栄に思います。

オンネトーアイスバブル
オンネトーアイスバブル

撮影は実は2021/12/3のオンネトー・アイスバブル観察ツアーの直後で、タイミングよくオンネトーが凍り、透き通った湖面とアイスバブルを撮影することが出来たので素晴らしい映像になりました。番組は他に屈斜路の御神渡りや、豊頃のジュエリーアイス、伊達の氷筍など北海道の冬の美しい風物が紹介されており、さすがプロのみなさんの撮影や編集技術の成果として分かりやすく迫力のある映像に仕上がったおりました。

はてさて、そんなこんなで今年の冬も11月下旬~12月初冬あたりはアイスバブル観察ツアーを行おうと思っていますので、ご興味のある方はぜひ。

結氷直後のオンネトー
結氷直後のオンネトー

2020/10/31 初冬の斜里岳登山ガイド

皆様、こんにちは。ガイドの西田です。紅葉シーズン以降の季節は年の瀬近くということもあって、ロープ高所作業などの出張が多い今日この頃なのですが、この度は神奈川からお越しのM様より斜里岳登山ガイドのご依頼をいただきました。

紅葉が終わって、10月下旬の北海道の山といえばもう初冬。ほぼ全ての山では夏山装備では登ることはできません。というより冬タイヤでないと登山口まで近づくことすら出来ないなんてことも…。ここ最近の北海道は小雪であることもしばしばですが油断は禁物。この季節は雪が降ったり氷雨が降ったり、湿雪や湿気から誘発されるガス、まだ藪が出ていたりして、ある意味真冬より厄介な難点もあったりするのです。

さてそんなこんなで、この日は三井ルートから初冬の斜里岳へ登ってみました。この日登山者は私たちだけ。私にとっては北壁や北稜などバリエーションのアプローチとしてなじみの深いこの三井ルートですが、この日はひっそりと静かな初冬の斜里岳を楽しむことが出来ました。

今年は10月29日が斜里岳の初冠雪だそうですが、例年に比べると随分と遅く感じます。ここ数日斜里岳山頂はガスの中だったので、さすがに上部はすっかりと雪に覆われていると考え、装備は万全を期して来ました。やはり歩みを進めるごとに登山道が雪に覆われていきます。ちょうど正月の南アルプスの山のような感じですね。ガマ石から先では、雪の重みでハイマツが垂れ下がって行く手を阻みアスレチック状態です。頂上近くの積雪はくるぶしくらい、思ったより風も強くなく、すんなりと斜里岳頂上に到着。雪面はまだクラストしておらず、夏の登山靴と軽アイゼンで十分でしたが、これから先は冬用登山靴と12本爪アイゼン、ピッケルが必要となるでしょうね。

海外も意欲的にお出かけになられているというM様ですが、とっても体力のある方で今回の三井ルートは往復6時間ちょっとでの完登でした。次は幌尻岳へ行きましょうかね!M様また遊びに来てくださいね。

2020/09/22 羅臼岳登山ガイド

この日は東京からお越しのI様を羅臼岳へご案内させていただきました。いつも通り前日よりウトロへ移動すると、やはり普段より人の少ないウトロの町で、セブンイレブンも24時間営業を休止しておりました。営業は朝6時からとのことですので、登山の際の朝食・行動食などお買い求めの際にはご注意ください。幌別川の橋の上には数台も車が止めてあり、川で魚を取っているヒグマの写真を撮っているのでした。この様な路上駐車が多いのもまた知床です。みなさま車の接触事故など十分にお気を付けください。

さて、お客様と合流の後に、岩尾別登山口より出発しようと入山帳簿に記入しようとしてみると「登山口より10~15分ぐらいのところにスズメバチの巣があり、被害者がでています。ご注意ください。」との注意書きがありました。スズメバチは9月~10月に繁殖期を迎え動きが活発になります。日本では年間約30人ほどがハチに刺されて命を落とし、動物の被害としては最も深刻なものです。ハチ毒アレルギー(アナフィラキシーショック)のある方は要注意!身体の周りをハチが飛び始めたら近くに巣がある証拠です。ゆっくりその場を離れましょう。間違ってもハチを手で追い払ったりしないように。外敵と思われて総攻撃を誘発します。

さて、そんなこんなで用心深くいつもの登山道を上がっていきましたが、なんとなく秋も深く静かな羅臼岳でしたね。もうオガラバナ、ミネカエデ、ミネザクラ、ウラシマツツジやチングルマなど高山帯の植物は紅葉が始まっていました。終始ガスっぽいこの日の羅臼岳でしたが、一番天候が良かったのは頂上到着時で、風もそれほど強くなくのんびりと休憩をとることが出来ました。なんとなくヒグマが現れる気がして用心していたのですが、この日は幌別川以外では結局現れずじまいでしたね。I様は翌日も斜里岳・トムラウシと梯子をしてお帰りになったご様子。また気が向いたら北海道へ遊びに来てくださいね。よろしくお願いいたします。